2016年7月16日(土)に開催された、オーガニック・エコ農と食のネットワーク(NOAF)設立記念シンポジウム。3連休の初日となる土曜の開催にもかかわらず、有機業界関係者、生産者、流通、大学、行政からなど、様々な分野にまたがる参加者が一同に会した。

「オーガニック・エコ農と食のネットワーク」とは、 Network for Organic-eco Agriculture and Food Lifestyle, Nippon – 略称:NOAF

『国産のオーガニック・エコ農産物に関わる産官学の様々な関係者・関係機関が「ゆるやか」に連携する場であり、新たなビジネス展開に向けた「プラットフォーム」として、必要な情報交換や技術連携等を行うとともに、こうしたことを通じて新たな取組を喚起し、あわせて、これらの取組内容を国内はもちろん国際社会に向けて発信することで、国産のオーガニック・エコ農産物の生産・市場の拡大に寄与することを目的とする。』
※オーガニック・エコ農と食のネットワーク 規約 第2条(平成28年7月16日制定)より引用

このゆるやかなネットワークが生まれた背景には、世界とはかけ離れた日本の有機農業の現状にある。2006年に有機農業推進法が制定、施行されてから10年。欧州などでは、全農地に占める有機の割合が4~6%であるところ、日本はその1/20、たったの0.25%でしかない。小売りの市場規模や、1人あたりの消費額なども、欧米とは大きな差がある。有機市場の成長率にいたっては、米国やフランスなどが10%を超える勢いで伸びているのに、日本は、その数値すら把握できていないという現状がある。

そんな状況を打破する為、立ち上がったNOAF。「オーガニック・エコ農と食のネットワーク」(事務局:「オーガニック・エコ農産物安定供給体制構築事業」の実施主体である、次代の農と食を創る会及び農林水産省生産局農業環境対策課)と、法政大学は、事業協力協定を結んだ。(2016年6月23日発効)ゆるやかなネットワーク組織で、「ベテランの知恵」「若手の発想」「中堅の底力」「産」「官」「学」すべてを結集して、オールジャパンで取り組んでいく。

◎企画=次代の農と食を創る会+幹事+会員【産】
◎事務局=農林水産省生産局【官】+次代の農と食を創る会(若手)
◎集合の場=法政大学【学】

活動内容
(1)国産オーガニック・エコ農産物に係るビジネス展開等に向けた情報・技術の収集・分析および共有に関すること
(2)国産オーガニック・エコ農産物の生産と市場の拡大に関すること
(3)国産オーガニック・エコ農産物に係る生産者・実需者・消費者に対する理解増進に関すること
(4)会員間の連携に関すること
(5)2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を契機とした取組に関すること
(6)その他目的を達するために必要なことに関すること

※オーガニック・エコ農と食のネットワーク 規約 第3条(平成28年7月16日制定)より引用

なお、NOAF自体は事業主体ではない。活動中核のプロジェクト形式で運営されていく。

すでに動き出しているプロジェクトとしては
■「オーガニックライフスタイルEXPO」@東京国際フォーラム(2016年11月開催)
■「F-デザイン」(福島屋、福島塾)
■2020年オリパラ向け食材調達戦略会議
■オーガニック物流改革
など。

これから動き出す企画(例)としては
■Green Table
■企業協賛によるプロジェクト
■補助金事業
■調査研究
などが検討されている。

有機農業に関する産官学協働の取り組みは、今までにはなく画期的なことだ。東京オリンピック・パラリンピックに向けての動き、マーケティング調査研究、有機に関する教育や啓蒙活動など、歴史的な第一歩を踏み出した、NOAFの今後に期待したい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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