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2017年春。食の展示会で見えてくる「オーガニック食品小売流通の展望と今後の課題」

2017 / 03 / 20特集コラム


毎年2月~3月は、食の展示・商談会が多数開催される時期。今年も東京ビッグサイトや幕張メッセには国内外から多くのサプライヤー、そして、食の百貨店や食品スーパーマーケットを中心とした小売流通のバイヤーが一堂に集まった。

ここ数年、オーガニック&ナチュラル関連のメーカーや輸入者も新たな販路開拓のため、業界専門ではない展示会に出展する企業も多い。さらに今年は既存の事業者に加え、デザイン、アパレル、スポーツ、IT業界等の異業種からの参入や、新規に有機食品を取り扱う食品輸入業者も目立った。主催者側も積極的にオーガニックフードゾーンを設けたり、関連セミナーも開催するように。これも今後成長が見込まれる分野として強い期待の表れといえよう。市場に参入を図る大手企業の増加は、昨年あたりから見えてきた業界の変化の兆し。長く伸び悩んでいたオーガニック&ナチュラル市場の、拡大への気運はますます高まっている。

2017年春 
食の展示会・商談会

2/8~10 東京ビッグサイト
■第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2017
■第21回グルメ&ダイニングスタイルショー春 2017

2/15~17 東京ビッグサイト
■健康博覧会2017
「オーガニック&ナチュラル・プロダクツ展」ゾーン展開

2/15~17 幕張メッセ FOOD TABLE in JAPAN 2017
■第51回スーパーマーケット・トレードショー
■第12回こだわり食品フェア2017

3/7~10 幕張メッセ
■FOODEX JAPAN 2017
「オーガニック&ウェルネス」ゾーン展開
オーガニックをテーマとするセミナープログラム実施

2017年春。食の展示会で見えてくる「オーガニック食品小売流通の展望と今後の課題」
展示会に出展されていた、“オーガニック食品を初めて扱う”という方々と話をしていると、有機JASについてや、食品表示法、薬機法(旧薬事法)など広告表現に対する禁止事項に関して、認識の甘い事業者が多いことに気がついた。

今までオーガニック食品の多くは専門店を中心に販売されていたため、有機に関する基本的な知識、販売するうえで必要なルールなども販売する側が熟知していた。よって、商品の表示等に何か問題があっても、バイヤーの段階でチェックされ取扱いとならないため店頭に並ばない。流通側から指摘があって改善されるケースもよくあることだった。

ところが、最近では製造メーカーや輸入者など取扱業者、そして小売流通業者の両者がオーガニックの扱いに慣れておらず、品管や薬事チェックが社内で機能していないことが多い。既存のオーガニック業界との接点もないので、誰に相談したらいいのかがわからない。そもそも問題に気付いていない、という事業者も多い。そのため、認証なき製品で表示に問題があるものがそのまま流通してしまう。また、商品に問題がなくとも、内部資料用の商品規格書の情報がそのままPOPやチラシなどの表現に使われてしまうケースも。このままではオーガニックの情報が正しく普及せず、消費者への混乱を招くことがますます懸念される。

有機JAS認証食品、非認証食品問わず、商品表示や消費者への情報提供は適切になされなければならない。そのためには、虚偽、誇大広告、違法表示の取り締まり強化をしていくとともに、売り場で消費者に適切な情報提供ができる人材の育成が望まれる。消費者に対する啓蒙も必要だが、オーガニック&ナチュラル志向の人たちは特に学習意欲が高く、情報収集も熱心だ。正しく理解しているかはさておき、「オーガニック」「有機」という言葉自体は、一般消費者の間でもかなり浸透している。だからこそ、今はむしろ、メーカー、輸入業者、小売店のリテラシー向上と教育の充実、正しい情報が提供される仕組みづくりが必要だ。

2017年春。食の展示会で見えてくる「オーガニック食品小売流通の展望と今後の課題

従来のオーガニック専門店では、卸を通さず生産者やメーカーと小売業とが直接取引するのは珍しくないのだが、大手GMSやチェーンストアの場合、特定の帳合先(卸売業)から仕入れるのが一般的だ。メーカーから直接仕入れるよりも卸売業から仕入れて物流を委託したほうが、設備投資や物流費、様々なコストが抑えられるというメリットもあるからだ。大量生産、安定供給が難しいオーガニック食品が、今まで大手スーパーなどであまり販売されてこなかった理由のひとつでもある。しかし、時代は変わり、今や大手食品卸売業も大手小売業もオーガニック食品を扱うようになった。2017年、さらにこの動きは加速しそうだ。

この春スーパーマーケット・トレードショーに出展した食品商社の伊藤忠食品は、話題のスーパーフードや「食べるコスメオイル」等、ヘルス&ビューティーを前面に打ち出したブースを展開。ドライフルーツやナッツの量り売り什器や、選りすぐりのビオワインを解説付きで展示するなど、商品提案や棚割提案だけにとどまらず、小売店に対して売り場づくりの提案と情報発信をしていた。NB製品を中心に扱う食品卸の展示会ブースで、オーガニック&ナチュラルにフィーチャーするのは今までなかったこと。

流通機能を担う中間業者は、オーガニック市場を一緒に育てていくにあたり味方にすべき大事なパートナーだ。ただ棚に並べるだけでは価値を伝えることが難しく、説明が必要なオーガニック食品。これからは、食品卸売業者による食品導入時の判断、商品特性に適した売場の提案、小売店との販売ノウハウの共有が、オーガニック食品の今後の販路拡大と市場成長のカギとなってきそうだ。

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

http://www.organic-press.com/about/