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イタリア伝統製法の長期熟成生ハムと日本の熟成ハム

2013 / 03 / 26特集コラム


伝統製法を守るプロシュット(Prosciutto)は長期熟成の自然食品だ

イタリアの街中には惣菜やチーズ、ハムなどの食材店があちこちにあり、その天井に熟成されたProsciuttoがたくさん吊るされている光景を目にする。このローマ帝国時代から続くという伝統的なハム、Prosciutto(プロシュット)は、もともとは無添加の保存食であることをご存知だろうか?Prosciutto(プロシュット)は、「じっくり乾かしたもの」を意味する言葉。製造方法は、まさに、その名が意味する通りで、豚の腿肉に天然塩をすり込み、塩漬け。1年から2年間という長期間にわたり吊るされて乾燥、熟成させる。一般的に燻煙(スモーク)はしない。長期間の間乾燥、熟成させることによって、まろやかな天然の旨みが増し、繊細な風味が醸し出される。原材料は豚のモモ肉に天然塩のみで、とてもシンプルだ。

1996年に世界的に有名なイタリアのパルマ産生ハム、パルマハムの日本輸入が解禁され、それ以降様々なイタリア産食肉加工品が、日本でも気軽に購入できるようになった。その頃から、日本のハムとは全く違う、噛むほどにに肉の旨みが広がるその味わい、美味しさに気づいた方も少なくないのではないだろうか?

イタリア伝統製法の長期熟成生ハムと日本の熟成ハム

イタリアのサルーミ(Salumi)

7日間以上塩漬すると熟成になる?

日本のハムはこのプロシュットとは製造方法が全く異なる。生ハムは「非加熱食肉製品」であり、一般的なロースハムやボンレスハムなどのハム類は「加熱食肉製品」。イタリアの生ハムは加熱せずに乾燥して作られるのに対し、日本の一般的にハムといわれるものは、原材料の肉をケーシング等で包装した後、くん煙、湯煮するなど加熱して作られる。(くん煙しないで湯煮するなど、様々な製造方法がある)

また、「熟成」するという言葉に対する認識にも違いがあるようだ。 パッケージなどに「熟成」をうたって販売されているハムがあるが、「熟成ハム類の日本農林規格」においては、「熟成」の定義は、原料肉を一定期間塩漬することにより、原料肉中の色素を固定し、特有の風味を十分醸成させること、としている。つまり「熟成」は「塩漬け」をする期間を意味している。熟成ハム類の既定では7日間以上塩漬することとしている。

イタリア伝統製法の長期熟成生ハムと日本の熟成ハム

日本の無添加熟成ハム

1年から2年という長期の間、自然に乾燥熟成させて作られるProsciutto(プロシュット)に比べ、1週間(以上)塩漬けされてつくられる日本の熟成ハム。

そもそも製造方法が異なるとはいえ、一般的に私たちが「熟成」と聞いて想像する工程は、プロシュットの考え方に近いような気がするのだが、どうだろうか?どちらが良いとか悪いとか、正しいとか正しくないとかではなく、日本のハムでいう「熟成」、というコトバにちょっと違和感を感じてしまうのは私だけだろうか?

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

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