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さらし木綿と日本の台所

2017 / 12 / 1特集コラム


出汁をとるとき、すりおろした果物や野菜の汁を搾るとき、蒸しものを蒸すときなどに使う、さらし木綿(さらし布)。台ふきんとしてや、食器拭き用にと、なんにでも使える「さらし」は昔から日本の台所に欠かせない存在だったが、いざ、スーパーなどのキッチン用品売り場で購入しようとしても売っていない。ふと、「そういえば、さらし布ってどこで買えるんだろう?」という疑問が頭に浮かんだ。

実家の母に尋ねてみると、和装着物店(反物屋)さんで購入しているという。1反ぶんを購入して、使う用途によって裁ちばさみで切って使っているとのことだった。

さらし木綿と日本の台所
近所に反物屋さんなどなく、さらし布を買うためにお店を探し回るのも大変だが、今はネット通販で何でも入手できる時代。「さらし布」と検索してみると、料理用としてというよりは、主に出産入院準備の「腹帯」用としているものがヒットする。「さらし布」は台所用としてはもちろん、腹帯や赤ちゃんのおむつに使ったりと、とにかく昔はどの家庭でも必ずあるといっていいものだったのだ。

今では一般に「ふきん」として販売されているものは、用途に合わせて伸縮性のあるものや吸水性に優れたもの、抗菌性に優れたものなど付加価値をつけたものが多い。当然、布端がほつれないようきちんとかがられているし、素材も木綿ではなくレーヨンだったり、あるいは使い捨ての紙だったりする。「さらし布」をふきん用としてそのまま販売されているのは、スーパーで見たことがない。昔は必要な分さらしを裁断し、何度も洗って繰り返し使用。清潔に保つために煮洗いしたり、クタクタになったらお掃除用におろして最後まで無駄にすることなく使っていた。どこの家庭にもあって、様々な用途に活用されていたさらし布は、万能でとてもエコなもの。それなのに、いつの間にか「さらし布」は身近な存在ではなくなった。それこそ、昔は古くなったタオルや布などを縫って造ったお掃除用の雑巾などまで、今ではすっかり”購入するもの”になってしまった。

さらし木綿と日本の台所

木綿1反はおよそ12m~13m。メーカーにもよるが、価格は1000円前後くらい。今は10m単位で販売されているものも多いようだが、正方形になるように裁断して30枚分くらいはとれる。何度も繰り返し使えて1枚当たり数十円というコストパフォーマンスの良さ。これがオーガニックコットンとなると一気に価格が高くなってしまうのだが・・・。

使い捨て製品が身の回りに多い今、あらためて環境への影響を意識し、使い捨てにしない暮らしをしていきたいもの。最近は家庭でいちから出汁をとることも少なくなり、お味噌にあらかじめ出汁が入っているものだったり、便利な顆粒タイプのものや紙パック入りの出汁などを使う事が多い。そのため鰹節やいりこなどの「出汁を布で漉す」という作業が発生しない。どこの家庭でも鰹節を削って出汁をとっていた時代から、便利なインスタントの時代へ。そんな時代だからこそ、一度「出汁をとる」ことからはじめてみよう。2番出汁まで取り切っただしがらは捨てずに料理に使用。出汁を漉すために使ったさらしは洗って繰り返し使い、そのうち台ふきんや掃除用へと活用していく・・・。そんなちょっとした日常から「さらし」のある暮らし、その時代の日本の台所がいかにエコであったかを実感すると思う。

▽基本の出汁の取り方「鰹だし」
http://www.organic-press.com/feature/feature_recipe_257/

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

http://www.organic-press.com/about/