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海外展示会に学びたい「成果」を期待させる展示会。運営の効率化と出展社側の取り組み

2016 / 03 / 30特集コラム


海外のナチュラル&オーガニックの展示会が元気だ。先月開催された「Natural Products Expo West 2016」は、出展者、来場者ともに毎年伸びており、2016年は3,000社を超える企業が出展し、来場者77,000人を動員した。同展示会の出展料は、小さなブースであっても決して安くはない。それなのに出展したい!と企業が思う理由はどこにあるのだろうか?

■「来場者」への厳しいチェック体制
入場バッジ取得のための来場者事前登録は、年々チェックが厳しくなっている。これはセキュリティーの為だけではなく、ビジネス目的の来場者や商談目的のバイヤーの入場を最優先し、サンプルや試食目的の一般消費者などの来場を制限するためでもある。

WEB事前登録が完了すると、バーコードつきの仮登録バッジがメールで送られてくる。紙で出力しても良いがスマホなどでも提示が可能で、このデータとIDで本人確認をし、バッジを出力してホルダーと共に渡される。これが無いと、まず建物に入れない。そして取得したバッジが譲渡されたり他者に再利用されないよう、いったん会場を出ると再入場の際にはID(外国人はパスポート)もチェック。バッジの名前とIDの名前も確認される徹底ぶりだ。

このような厳しいチェック体制もまた、出展者から「成果」を期待させる「信頼性の確保された質の高いBtoB展示会」であると、高い評価を得られている理由のひとつだ。

海外展示会に学びたい「成果」を期待させる展示会。運営の効率化と出展社側の取り組み
■来場者に関する情報管理の簡素化・効率化
日本の展示会でもWEBによる事前登録化は進んでいるが、いまだ根強い「招待状」。登録所では多くの場合名刺が2枚必要となり、1枚は展示会運営側へ。もう1枚は、来場者用の首から下げるホルダーの中へ。展示会によっては名刺をホッチキスで止める為、名刺に穴が開き1枚が無駄になることも。招待状の印刷代、郵送代にはじまり、登録所での手続き、運営者が名刺の情報を入力する手間・・・入場者バッジに関する一連の流れには、実は細かなコストや労力がかかっているのだが、海外の展示会の多くは、WEBで登録⇒窓口でバーコードをスキャン(IDと照合)⇒バッジを出力⇒ストラップと共に来場者へ・・・と、流れもスムーズなうえ無駄も少ない。データ化された情報は蓄積されるとともに、来場者数の集計、ビジネスカテゴリーやアンケート内容の集計分析など、運営側は有効活用できる。

このデータは出展者も利用する。ここにはあらかじめ必要な企業情報が登録してあるため、来場者バッジのバーコードをスキャンすることで、名刺がなかったとしても確実にサンプルや見積もりの手配が出来る。本当に必要とされる見込み客をスクリーニングし、効率よくターゲットにアプローチするツールとしても有効だろう。名刺をもらってその場でメモ、後日自社のデータベースに入力するなどの作業、煩雑になりがちな商談先のリストアップもスムーズだ。

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■会場設営の簡略化

Natural Products Expoでは、圧倒される規模でスタイリッシュなブースづくりをする企業が多い。アイランドタイプの広々としたスペースにインパクトのある大がかりな装飾、豪華なブース、無料サンプルや試食の大盤振る舞いなどが印象的なので、こういった華やかな部分だけがフォーカスされて語られがちだが、実際に3,000を超える企業すべてが、その予算をかけられるわけではない。そのため、中小事業者でも出展しやすい幅10フィート(約3メートル)、またはそれ以下のこじんまりとしたブースも多く用意されている。

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Natural Products Expoの小規模ブースの作りをよく見てみると、出展者ブースを区切る後方のパーテーションには、ポールに布を張ったものを利用。両サイドのパーテーションは、腰くらいまでの高さだ。これにより通路の見通しも良く、オープンな雰囲気だ。しっかりとした枠組みを作って厚いボードを設置するような、大がかりな設営工事の必要がない造り。光を通しブース内も暗くなりにくいので、各ブースごとの照明などもない。思いのほか、シンプルで簡易な作りとなっている。設営や撤収にかかる時間も費用も、また運搬や保管スペースのコストも大幅に削減できそうだ。

このブースサイズは、日本の展示会でも多く見られるタイプだが、日本では1ブース毎にパーテーションボードで両サイドをしっかり区切る、いわばBOX型個室タイプにすることが多い。壁にポスターを貼ったり棚を設置したりなど、出展者にとって便利なところもあるのだが、来場者側からすれば周りが見渡しにくい、圧迫感があるつくりとも言える。

ちなみに、日本の展示会の多くは、来場客が通る通路はあえてレッドカーペットを敷くことが多いのだが、Natural Products Expoでは、シンプルなベージュグレー系だ。カーペット上も一部広告スペースにもなっていて、ブランドロゴやブースナンバーなどをPRする企業もあった。通路を目立たせるのではなく、ブースを引き立たせる色づかいは、結果として会場全体を調和のとれたものにしている。あくまでも主役は出展者だ。

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■その場で結果をつくる商談

出展者たちは、この展示会をブランディングの場、お披露目の場として位置づけているだけでなく、その場で結果を出す商談の場として最大限活用している。大きなブースでは、たいてい商談用のスペースが設けられている。事前に個別の商談スケジュールが組まれるのはもちろん、その場できちんと商談をして話をまとめるという姿勢が見て取れる。

また、この会期中に限ってや来場者限定の「特別見積もり価格」を用意している企業も多い。既存の取引先のバイヤーたちは、この場で新製品の情報をキャッチするだけでなく、まだ扱ったことのない製品などを試食、食べ比べなどして吟味する。そしてせっかくのこの特別価格の機会を逃すまいと、期間中にこぞって必要な発注をかけるのだ。

展示会のもつ高い集客力、情報発信の場として「成果」を期待させる運営側の取り組み、出展者たちはもちろん、来場するバイヤーたちの展示会にかける意気込みが、同展示会を盛り上げ、成功へと導いている。

 

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

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