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バルセロナのデパ地下「El Corte Ingles (エル・コルテ・イングレス)」青果売り場

2017 / 10 / 14特集コラム


スペインにある唯一の百貨店グループ「El Corte Ingles (エル・コルテ・イングレス)」。バルセロナのカタルーニャ広場近くにある店舗の地下1階には大きな食料品売り場があり、野菜から加工食品、肉や生ハム、ソーセージ、チーズ、ワインなどまで、スペインの特産品も幅広く取り扱っている。

オーガニック食品も多数扱っており、入り口入ってすぐの左手壁沿い(青果量り売りコーナーの後ろ)から、オーガニックの加工食品、乳製品などの冷蔵製品、グルテンフリー食品、そしてオーガニックの野菜や果物へと続く。有機認証の農産物はここではすべて冷蔵ケース。品揃えはまずまずだが、量り売り、裸売りの根付いているこのヨーロッパで、全部袋詰めまたはラップされていたのがちょっと意外ではある。

バルセロナのデパ地下「El Corte Ingles (エル・コルテ・イングレス)」青果売り場
青果売り場の一番中央は、セルフ販売の地産地消、ローカル野菜の売り場となっていた。生産者と消費者の直接取引や、中間流通業者を介さずに小売業者が販売していることを示す大きな「Venda de proximitat」のマーケティングサインが目印だ。

このマーク(ビジュアルアイデンティティ)は、カタルーニャ地場産品や農産物に付加価値を与え、ローカルの小規模生産者、地方消費を守ることを目的としている。生産から消費者までのプロセスを減らすことでコストを削減。生産者の利益に貢献するとともに、消費者がより安価で商品を購入することが可能となる。また、農産物や食品に付加価値を与え、生産者の収入源の多様化を促進。さらにはカーボンフットプリントの削減にもつなげるねらいがある。

対面量り売りタイプの売り場もある。果物類が中心で特に有機のものというわけではなく慣行栽培のもの。輸入のもの、ローカルのものなど扱うものは様々だが、ローカルのものにはそれとわかるよう、プライスのところ同じく「Venda de proximitat」のマークがつけられていた。

バルセロナのデパ地下「El Corte Ingles (エル・コルテ・イングレス)」青果売り場

この対面販売のコーナーは、日本の銀行の順番待ちのように発券機で番号札を取り、電光掲示板で自分のとった番号が表示されたら、順番に対応してくれるというシステムだ。

よくよく観察しているとお客さんは常に絶えることなく大盛況。対面なのに番号札!?と初めは違和感を覚えたのだが、360度ぐるりと商品が並び、中央に販売員が入っている。前面にあるもの、後方にあるもののどちらも欲しいというお客様の場合、全方向に対応していると、他のお客様の来店の順番を把握するのは難しい。後から来た人を先に対応してしまうなどのトラブルを避けるためには、この番号札は合理的なシステムなのかもしれない。

バルセロナのデパ地下「El Corte Ingles (エル・コルテ・イングレス)」青果売り場
番号札のシステムは置いておき、日本でも取り入れたいのがこの対面式、マルシェ方式を取り入れた売り場だ。ただ袋詰めされただけの野菜を目立たないところに置くだけでは売れないし、せっかく量り売りを導入しても接客説明できる店員がいなければ、機械が苦手な人や年配の方などには少しハードルが高い。日本では裸売り、量り売りのスタイルがなかなか定着しないが、売場の一部を対面型の量り売りとするのがまず第一歩かなと思う。

バルセロナのデパ地下「El Corte Ingles (エル・コルテ・イングレス)」青果売り場

セルフで買いたいという人、対面で買うのがそもそも苦手な方もいるが、むしろ生産者との交流や、試食などができる体験の場を求めているお客様も多いはず。現に都内で開催されている都市型マルシェやファーマーズマーケットはどこも大盛況だ。実際の店舗でも、マルシェのように生産者が販売できれば理想だが、なかなか現実的ではない。専属スタッフなどを店内で配置した対面式ながら自分で量り売りもでき、困ったときにはすぐサポートしてくれる人がいる、というのが理想のスタイル。ただし、野菜についての基本知識はもちろん、調理の仕方、オーガニックについての知識、生産者の情報などをもっていることが大前提だが。

 

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佐藤アキ (Aki Sato)プロフィール

大学時代は社会福祉を専攻。老人福祉を学びボランティア等の経験から「健康」「食」「環境」に強い関心を持つようになる。自身が幼少期から現在に至るまでアレルギー体質であることも、自然・健康産業分野に従事するきっかけのひとつとなった。首都圏を中心にオーガニック専門店を展開する企業で経験と実績を積んだ後、健康関連商品を扱う日本最大級の通販サイトへと活躍の場を移す。リアル店舗の現場からE-コマースの分野へと、当時オーガニック業界とは真逆の文化とも言えるであろう、インターネットという未知の世界に飛び込み、それぞれに黎明期とも言われる時代に経験を積んだユニークな経歴を持つ。それぞれの分野で蓄積された知識と経験を活かし、さらに消費者という情報の受け手側に立った視点も加えたソリューションを提供することを決意。業界先駆けとなるオーガニック専門の情報サイト『TOKYO ORGANIC LIFE (東京オーガニックライフ)』、『ORGANIC PRESS (オーガニックプレス)』を立ち上げた。

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