経済成長が著しい中国では、富裕層の増加に伴い食に対する意識が高まっている。購買力の増した都市部の中間所得層や富裕層など、まだごく一部の消費者しか買えない価格帯であることは否めないが、日系百貨店の食品売り場や、外資系の輸入食品を主に扱う高級スーパーに行けば、オーガニック食品や農産物も購入することができる。

売り場は非常に明るくクリーンだ。有機野菜コーナーはとても広くスペースをとっており、野菜が山積みされボリューム感がある売り場だ。コーナーパネルの他、商品1つ1つに有機の認証マークなどが貼られており、一目でオーガニックであることがわかるようになっている。野菜はすべてほぼ同量、同サイズに揃えられ、トレイに入れられ、すべてラップでピッタリと包まれていた。

日本のオーガニックスーパーでも過剰包装は気になるところだが、泥つき、土つき、葉つき、皮つきなど、本来ナチュラルな状態で販売されるような野菜まで・・・というのには、さすがにちょっと行き過ぎ感がある気がしてしまう。

別の高級マーケット内の有機食材コーナーでは、大量陳列ではなく小スペースで陳列台を使い、ライブ感ある売り場をつくっていた。ここでも、プラスティックトレイやラップ類を多用しているのは同じだ。日本の有機野菜のように、生産者の顔が見える安心感や、作り手のこだわりや想いを伝える、感じられるような情報発信はなかった。

残留農薬等がカラダに及ぼす影響などについては認識しており、安全、安心を重視する消費者は増えている。有機食品が安心、安全な食べ物であるという理解はある。しかしながら、オーガニックの背景にある循環型社会に対する正しい知識と理解については、消費者側も販売する側も、日本や欧米諸国とはまだ少し差がある印象を受けた。

今後、中国における有機のマーケットが成熟していくことを期待している。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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