5月中旬に発表された英国の環境・食糧・農村地域省の発表によると、2019年、英国でオーガニック農業を行っている農地は48,5000エーカーで、その62%はイングランドにあるそうです。先日、ロンドンの南東に位置するケント州のオーガニックファームへ旬のタイベリーとラズベリーを摘みに行って参りました。

英国では、5月末からいちごのシーズンで、6月末くらいからチェリーを摘める農園がではじめてきます。今年は、珍しく4月から気温が高い日が何日もあったため、例年より早めにこれらのフルーツの季節が到来しました。

羊や馬がいる牧草地を見渡すロンドン郊外の高速道路を車で走っていると、あちらこちらに果物狩りを意味するPYO (Pick your own)の看板が出ています。今回目指したのは、丘の上にある小さなオーガニック農園です。

オーガニックファーム

この農場は、とてもコンパクトなサイズで合計33エーカー(東京ドーム約2.8個分相当)あります。6つの大きなビニールハウスと種子からすべての植物を育てる種子繁殖のエリアに分かれています。冬場は日照時間が短く曇り空が多い英国の気候ですが、できるだけ一年中幅広い種類の作物を育て、野菜、果物、花を消費者に提供しているようです。

彼らは、この農場で大規模な輪作を行っており、土壌の健康そして肥沃度を促進するために、毎年土地の一部でクローバー、牧草、チコリなどを育ています。また、生垣や荒地などの手入れや開発をして、多様な生息地を奨励し、できるだけ昆虫や鳥などの生命を支え、それらが生態系や環境に利点を与えられるように促しています。

ここでは、有機農業より技術的に一歩進んだバイオダイナミック農法ですべての植物を栽培しています。つまり、有機農業の基準もクリアしており、この農園では、ユーロリーフの有機農業マークを取得しています。

オーガニックファームショップ

こちらのオーガニック農園では入園料などを一切支払う必要がなく、摘んだフルーツをプラスチック製の容器に入れ、重さを計量し、会計をします。

また、農園に洗い場がないため、摘んだベリーをその場で食べることはできません。

摘み終わったあと、せっかくなのでファームショップをのぞいてみました。

オーガニック農園が運営しているファームショップだけあり、オーガニック認証マークまたはバイオダイナミック農法のデメター認証マークを取得しているものが店頭に並んでいます。そして、この農園で収穫した野菜や果物だけの販売ではなく、ひとつの小売店として仕入れをして販売しているようで、大手のスーパーマーケットには並ばないような新鮮なオーガニックの野菜や果物があり、どれも買い物かごに入れたくなります。

ちなみに、この時期こちらの農園で栽培しているのは、キャベツやレタス、季節のそらまめやズッキーニ、きゅうりなどがあります。

写真をご覧頂いて分かるように、葉物野菜とパンはプラスチックの袋に入れられていますが、だいたいが量り売りで、必要があれば置いてある紙袋に入れて買い物をします。

そして卵売り場は、自ら卵をひとつひとつ選ぶ形式となっています。スーパーマーケットで販売している卵のケースが積まれていたので、消費した卵のケースを再利用しているように見受けられます。

なかでも気に入ったのは、黒板プレートに原産国、商品名、価格をチョークで明記している点です。これらは、生産および仕入れ状況によって変動するので、ゴミを出さずに何度も繰り返し使うエコな手段です。

売り場の片隅にすべて半額のスペースがあり、少し傷んだ野菜や果物がたくさん積まれていました。そこからパプリカ3種を選び会計をすると「半額のものね。ありがとうございます。」とお礼を言われました。私の考えすぎかもしれませんが、このさりげないやり取りから、なんとなく食品ロスを意識しているように感じました。

そして、会計を終えると、ピーチが入っていた段ボールに商品をのせて渡してくれました。

見渡す限りプラスチックのレジ袋は店頭に置いておらず、エコバッグの持参がない場合は、このように商品を渡している様子です。

また、レシートを見ると、BPA、BPS、ビスフェノール、フェノールなどを不使用のエコなレシートでした。

さまざまなところにオーナーの信念が反映されているような素敵なオーガニックファームショップでの買い物の体験となりました。

最後に

新型コロナウィルス(COVID19)のパンデミックにより、世界中の国や都市が封鎖(ロックダウン)したのも記憶に新しいと思います。どこの国でもスーパーマーケットでは品薄状態が続く商品もありました。一部で製造や物流が滞り、消費者がパニックを起こすことを目のあたりにした方が多いと思います。

ベトナム、インド、カンボジアなどで自国民に米を供給するため、国外への輸出を禁止する動きもありました。これはあくまでも一例に過ぎませんが、このような抑制が働くことでこれまでのフードサプライチェーンが見直される機会になります。

そして、環境問題への関心が高まり、人々の行動制限を受けることで、いかに地産地消が大切かを気づかされます。このようなオーガニックファームが近くにあると、新鮮な野菜や果物を手に入れることができるので、自然のなかでゆっくりと暮らし、ローカルのショップで買い物をするという生活も意外と心地の良いものかもしれません。

この記事を書いた人

鈴木 聖佳

約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。

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