英国では、2020年4月よりプラスチックストロー・プラスチックの綿棒・マドラーを全面禁止にすることが発表されました。スーパーマーケットのMorrisons(モリソンズ)も野菜や果物のプラスチック製の包装を徐々になくし、Sainsbury’s(セインズベリーズ)のスーパーマーケット内のカフェでは、持参したウォーターボトルに水を入れることができる給水スタンドが8月より326店舗で設置されるそうです。また、これまで肉・魚・チーズ・デリの売り場では、店員がプラスチックトレイやプラスチック製の包装をしていましたが、持参した容器に注文したものを入れてもらえることができるようになりました。そして、Waitorose(ウェイトローズ)のオックスフォード店ではシリアル、ナッツ類などからワイン、ビール、洗剤などのクリーニングプロダクトの量り売りをスタートし、メディアをにぎわせています。国や各企業がプラスチックゴミ問題に取り掛かりはじめ、さまざまな新しい動きがある中、セレクトした最新の情報をみなさんにお届けします。
「バルクマーケット」、半年でさらにバージョンアップ
以前取材で足を運んだ「バルクマーケット」が冷凍食品の量り売りを開始した、と耳にしたので早速行ってきました。たった半年で品揃えもかなり増え、敷地面積も拡大していました。これまで多くの量り売りショップや量り売りコーナーを見てきましたが、冷凍食品の量り売りは斬新な取り組みです。オーガニックのとうもろこし、いんげん、グリンピース、ストロべリー、ラズベリーなどのオーガニック冷凍食品が並んでいます。自ら持参した容器に欲しい量だけ入れて、重量で決められた価格で購入します。
「バルクマーケット」の新しいカテゴリーとしては、クレイやスキンケアオイル、洗剤などのクリーニングプロダクトやペットフードなどの量り売りが開始されていました。どれもオーガニックショップでなじみのブランドが、個包されたパッケージではなく、バルクで商品を提供しているのです。
テラサイクルとは
ショップに入り目についたのは、隅に置かれているリサイクルマークがついた7つのダンボールです。ポテトチップスのPringles(プリングルス)、離乳食ブランドのElla’s Kitchen(エラズキッチン)、歯ブラシ・チューブタイプの歯磨き粉Colgate(コルゲート)などがそれぞれ回収ボックスに入れられています。
店員に質問をすると、テラサイクルという企業が行っているということを教えてくれました。「プラスチックはリサイクルされている」と思っている方がいまだにいらっしゃると思います。しかし、実際リサイクルされているのは全世界で9%と言われています。ほとんどは、通常のゴミとして処理されています。テラサイクルは、リサイクルするものを細かく指定し、それを回収し、それらのゴミをリサイクル処理及び加工し、ベンチ・フェンス・植木鉢・ごみ袋など、別のものに生まれ変わらせています。
参加する個人・小売店・学校や企業などの団体は、これらをテラサイクルに送る必要がありますが(送り主は送料の負担不要)、リサイクルするものの重さによって定められたポイントを取得できます。そして、貯めたポイントは民間非営利団体(NPO)や学校などに寄付できます。
プラスチック個包装のソリューション
先日、オーガニック食材が充実しているオンラインスーパーマーケット、Ocado(オカド)で食品を買ったところ、このような野菜パッケージを目にしました。
野菜や果物の量り売りに関して、衛生面の観点により抵抗があるという意見を耳にしますが、これであれば、丸裸で売られる野菜や果物よりは良さそうです。これは、間伐材から回収されたブナ材から作られた、革新的で環境に優しい網タイプの包装材です。
「FSCまたはPEFC認証森林からの持続可能な方法で管理されたブナの木を間引いて作られたもので、天然素材で通常廃棄される副産物であるブナ材から作られています。網の製造(カーボンニュートラル加工)に必要な水は綿よりもかなり少なく、80%の節水につなる」ということです。
(引用:Wholegood https://www.wholegood.co.uk/)
家庭でも堆肥できるということで、生ゴミと一緒に捨てられること。そして、小売店で売り切れなかった食品をそのまま廃棄しても、堆肥できるので環境に優しいです。
日本のプラスチックゴミの課題
日本はコンビニエンスストア・自動販売機の数が圧倒的に多く、ペットボトルに入った飲料水やプラスチック容器に入った弁当や惣菜をどこでも購入できます。ロンドンのテイクアウェイができるショップでは、プラスチック容器から紙の容器、プラスチックのカトラリーは、割り箸のように木製に変わっています。ウォーターボトルを持参していれば、無料で給水できるところも複数見かけるようになりました。また、レストランでミネラルウォーターを頼むとガラス瓶で出されることが多くなり、サスティナブルなショップではアルミ缶に入った飲料水も見かけるようになりました。今後どのように日本の各飲料メーカーや小売店は対応していくのでしょうか。
この記事を書いた人
鈴木 聖佳(すずき さとか)
約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。