政府は2021年3月9日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」を閣議決定しました。本法律案は、多様な物品に使用されているプラスチックに関し包括的に資源循環体制を強化し、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じようとするものです。
▽参照資料:【概要】プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案
https://www.env.go.jp/press/files/jp/115768.pdf
1.背景
海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっています。
政府においては、プラスチックの資源循環を総合的に推進するため「プラスチック資源循環戦略」(令和元年5月)を策定し、本戦略を具体化するため、令和2年5月から令和3年1月までにかけて開催された中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会及び産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループの合同会議における審議の結果を受け、令和3年1月29日に中央環境審議会から「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(意見具申)」をいただいたところです。
本法律案は、この意見具申に則り、多様な物品に使用されているプラスチックに関し包括的に資源循環体制を強化し、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じようとするものです。
2.法律案の概要
(1)基本方針の策定
プラスチックの資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するため、次の事項等に関する基本方針を策定します。
・プラスチック廃棄物の排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計
・ワンウェイプラスチックの使用の合理化
・プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化 等
(2)個別の措置事項
①環境配慮設計指針の策定
製造事業者等が努めるべき環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に適合した設計であることを認定する仕組みを設けます。また、認定製品を国が率先して調達する(グリーン購入法上の配慮)とともに、リサイクル材の利用に当たっての設備への支援を行います。
②ワンウェイプラスチックの使用の合理化
ワンウェイプラスチックの提供事業者(小売・サービス事業者など)が取り組むべき判断基準を策定します。また、主務大臣の指導・助言・ワンウェイプラスチックを多く提供する事業者への勧告・公表・命令を措置します。
③市区町村の分別収集・再商品化の促進
プラスチック資源の分別収集を促進するため、容リ法ルートを活用した再商品化を可能にします。また、市区町村と再商品化事業者が連携して行う再商品化計画を作成し、主務大臣が認定した場合に、市区町村による選別、梱包等を省略して再商品化事業者が再商品化を実施することを可能にします。
④製造・販売事業者等による自主回収の促進
製造・販売事業者等がプラスチック製品等を自主回収・再資源化する計画を作成し、主務大臣が認定した場合に、認定事業者の廃棄物処理法の業許可を不要とします。
⑤排出事業者の排出抑制・再資源化の促進
排出事業者が排出抑制や再資源化等の取り組むべき判断基準を策定します。また、主務大臣の指導・助言・プラスチックを多く排出する事業者への勧告・公表・命令を措置します。加えて、排出事業者等が再資源化計画を作成し、主務大臣が認定した場合に、認定事業者の廃棄物処理法の業許可を不要とします。
3.施行期日
本法は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとします。
▽参照ページ
令和3年3月9日 環境省報道発表資料
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案の閣議決定について
https://www.env.go.jp/press/109195.html