
たった1年でインスタフォロワー10万人増! 鹿児島から日本の食を変える不屈のローカルスーパー
鹿児島の中心市街地、天文館にある「フードオアシス ハルタ」
プロローグ
鹿児島の中心市街地、天文館に「フードオアシス ハルタ」というローカルスーパーがある。店舗数は1店舗のみ。一見どこにでもあるスーパーだが、Instagramのフォロワーは現在11.7万フォロワー(2026年8月時点)に上る。これだけのフォロワー数を誇るスーパーを他に知らない。

フードオアシス ハルタのInstagramアカウント。
フォロワー数は11.7万人(2026年8月時点)
https://www.instagram.com/foodoasis_halta/

ハルタの春田晃秀社長が出演し、食の安心安全をアピールする動画の数々
ハルタのInstagramが伸びた理由については本稿の中で明らかにしていくが、まずはハルタのInstagramを実際に見てみてほしい。主に登場するのは同社社長の春田晃秀さん。
https://www.instagram.com/foodoasis_halta/
スーパーのInstagramといえば商品のおすすめやフェアの告知が中心だが、ハルタのInstagramは単に商品を説明するのではなく、「食の安心安全」をとことん掘り下げて発信している点に特徴がある。
例えば、みりんについての動画では次のような解説を行う。動画からテロップを書き出してみる。
『皆さん知ってますか?最近の本みりん 本当に本当のみりんなの?最近のみりん原材料を見てもらいたいですもち米、外国産が多いそしてなんでちゃんとした発酵を作るのにアルコールが必要!?このアルコール原材料ほとんど遺伝子組み換えのトウモロコシそしてちゃんと発酵しないからぶどう糖果糖液糖が使われる』
出典:フードオアシス ハルタのInstagram(2024年12月19日)より
https://www.instagram.com/reel/DDwQ-IRP29M/
このリール動画の視聴回数は99.4万回(2025年12月時点)に上り、ハルタのInstagramで一番最初にバズったものだ。とつとつと不器用に、「食」について真剣に語る春田社長の姿に目が釘付けになる。それでいてたまに見せる笑顔はチャーミングで、人懐っこさも感じさせる。語弊があるかもしれないが、春田さんは以前は重度のアトピーだったそうで、動画越しにもそれが伝わる。春田さんのそうしたビジュアルから視聴者が受ける印象も強いだろう。
「この人は、これまでどんな人生を歩んで、ここにたどり着いたのだろう」
ハルタのInstagramを見てそう感じた。そんな折、わかめアニキから連絡をもらった。
「鹿児島のハルタに行きましょう。今バズっているスーパーです」
「ぜひ!」と即答し、鹿児島へ向かった。
美味しさ、季節感、安心安全をアピールする売場
取材に訪れたのは2025年10月7日〜8日の2日間。取材初日、春田社長は出張で不在だったが、ひとまず店内を見学させてもらった。

入口から店内を見渡す。床がピカピカに光り、清掃が行き届いていることを感じさせる
まず入口を入ってすぐのところに、「そのやま農園 森のかぞく」という鹿児島県姶良市にある農家が手作りした惣菜と弁当が並んでいる。有機野菜を使った色とりどりの豊富なメニューに目を奪われる。

有機野菜を使った「そのやま農園 森のかぞく」の惣菜と弁当

旬の有機野菜をふんだんに使用した「森かぞ弁当」。ごはんは酵素玄米と7分づき米で、鹿児島産有機米を使用
続く青果売場には、有機栽培、特別栽培の農産物をはじめ、慣行栽培であっても他のスーパーではなかなか見かけないこだわりの果物や野菜が並ぶ。紅葉や「秋の味覚」という装飾で、季節感もしっかり演出している。

「秋の味覚」を打ち出し、季節感を感じさせる果物コーナー

契約農家による産直コーナー。約100種類の野菜や果物を農家から直接仕入れている
主通路を進むと、国産原料・食品添加物無添加にこだわるブランド「自然の味そのまんま」(こだわりの味協同組合)の商品がいっぱいに詰まった冷蔵ケースがあった。奥にあるグロサリー売場でも、ゴンドラエンドで大きく展開されている。「自然の味そのまんま」の商品はInstagramでもたびたび紹介される、ハルタになくてはならない商品だ。

「自然の味そのまんま」の商品がいっぱいに詰まった冷蔵ケース

グロサリーコーナーのゴンドラエンドでも「自然の味そのまんま」を大きく展開する
精肉コーナーの注目商品は、在来種に近い黒豚の「短鼻豚(たんびとん)」。生肉に加えて、短鼻豚を原料に使用したソーセージ、餃子、ハンバーグなどの冷凍加工品も充実。すべて無添加で作られている。

有限会社鹿児島ますやの「短鼻豚」を原料に使った冷凍加工食品。すべて無添加で作られている
鮮魚コーナーでは、わかめアニキがライブ販売を実施中。この日は一番の人気商品「松前漬け」の試食を提供。アニキが販売する株式会社リアスの海藻加工品の中でも人気ナンバーワンの商品だ。リアスの商品も国産原料・無添加にこだわって作られている。

鮮魚コーナーで松前漬けのライブ販売を行うわかめアニキ
生魚は天然の魚、ないしは抗生物質・抗菌剤を使用していない養殖の魚を優先して販売する。黒須もろみを配合した餌で完全無投薬で養殖される「さつま黒酢ぶり」、遺伝子組み換え穀物・酸化防止剤・合成アスタキサンチン不使用の「鯛一郎クン」(愛媛県宇和島産)など、こだわりの刺身が並ぶ。丁寧な商品化と陳列による、美しい売り場だ。

「さつま黒酢ぶり」「鯛一郎クン」など、こだわりの生魚が美しく商品化された刺身コーナー

熊本県産の自然栽培米。有機JAS認証を取得している。自然栽培の米がこれほど積まれているスーパーは極めて珍しい

毎週水曜日限定で入荷するパン&黒酢の店「PANTOSU」の手作りパン。国産バターを100%使用

九州産米粉100%使用のグルテンフリー&ヴィーガンの冷凍パン
オーガニックや無添加にこだわった食品が多くある一方で、売り場を隈なく見ていくと、カテゴリーによって食品添加物を多く使用した商品も一定のボリュームで置かれている。オーガニックスーパーだと思って期待して来店したお客はギャップを感じるかもしれないが、日本では100%オーガニックのスーパーは極めて稀であり、ハルタにおいてもまだ取り組みの途上である。
