プロローグ
2015年(平成26年)調べで、エディブルフラワーのマーケット規模は2~3億円(※1)というデータがあります。野菜の市場規模からすれば非常に小さい市場です。
しかし、数年前からカフェや洋菓子店、レストランからのニーズが増し、インスタ映えブームの流れにも合致して、注目されはじめています。
エディブルフラワーとは「食べる花」で古くから食用菊は知られています。しかし、最近はバラ、パンジー(ビオラ)、ナスタチウム、ナデシコ、ベコニア、ペンタス、マリーゴールド、ダリア、プリムラ、ノースポール、ランタナ、バーベナ、アリッサム、ストック、プルンバーゴ、ヤグルマソウ、キバナコスモスなどと多岐にわたっています。
これまでは一部高級レストランや結婚式場などでの需要に留まっていたものが、カフェメニューで提供されるようになったことで、身近で馴染みのある食材(インスタ映え素材)として認識されつつあります。
またアメリカ、ヨーロッパ、北欧をはじめとした海外市場は、2~3年で200~300%の需要増で急伸傾向にあるそうで、その波が日本に上陸するのか注視したいところです。
オーガニックの可能性
現在、日本市場でのエディブルフラワーは90%が農薬使用だそうで、花は葉や茎に比べ農薬の吸収率、残留性の高いことが示唆されているので、今後、無農薬・無化学肥料栽培の普及速度も注視する必要があります。
カフェやレストラン、消費者からは無農薬、無化学肥料の花を望む声が多いので、これから成長するジャンルとしては、この段階からオーガニックが前提という意識で進む可能性が高いと予測します。
インスタグラムを中心としたSNSでエディブルフラワー投稿では「#EDIBLEFLOWERS」で約50万件(2020年2月現在)の投稿がカウントされていました。カフェ、レストランはもちろん、消費者が自宅で楽しく、きれいに、おしゃれに、そして、手軽に作れるレシピとして提案できる魅力がうかがえます。加えて、栄養もあり、繊細な味も楽しめます。生産者も小規模ながら各地で増加しています。今後、さらに新しい訴求ポイントが生まれマーケット拡大への波及効果が期待できると考えます。
※1 平成26年産地域特産野菜生産状況 調査(愛知県版)の調査結果参照
資料/エディブルースフラワーのマーケット調査2020(株式会社エディブルガーデン)
【エディブルフラワーの次回以降のテーマ】
・オーガニック認証取得に挑戦する生産者(横山園芸)
・いち早く各地の生産者との流通ネットワークを構築(エディブルガーデン)
・すでに動き始めている百貨店、レストラン、カフェの訴求活動(池袋東武百貨店他)
この記事を書いた人
山口タカ
大分県佐伯市出身 や組代表 ジャーナリスト&クリエイティブディレクター(出版/マッチングコンサル) オーガニック、アウトドア、食育をテーマに活動。1997年に日本初のオーガニック専門誌「ORgA(オーガ)」創刊。 2001年に「オーガニック電話帳」を自費出版。以来、”ひとり出版社”と称してオーガニックの普及をライフワークとし、全国有機農家や食品メーカー、レストランなどを取材している。漫画「美味しんぼ」第101巻“食の安全”をコーディネートし、作中に“有機の水先案内人”として登場。近著に「東京オーガニックレストラン手帖」(辰巳出版)