オーガニックプロダクトとは切っても切り離せない環境やゴミ問題、エコ、ゼロ・ウエイスト。オーガニック食品を取り扱うスーパーマーケットでは、ナッツ・シリアル・グラノーラからシャンプーなどの液体系を量り売りしているところも珍しくありません。容器を持参することで、お買い得&環境にもやさしいです。また、7月はプラスチックフリージュライ(Plastic Free July)の運動も団体によって広がりつつあります。

Plastic Free July とは

プラスチックフリージュライ(Plastic Free July)はオーストラリアより始まった運動で、7月中は一切のプラスチックを使用しない!というチャレンジです。現在150カ国の人々がこの運動に参加しているそうです。「プラスチックのゴミがない世界」を目指して、まず人々に現状を知ってもらうこと、そして次世代のためにもっときれいな地球を!というビジョンを持ち、「プラスチック製の買い物袋、ストロー、持ち帰り用の容器、カップの使用をしないようにする」という人々の習慣や行動を変えることも推進しています。

なぜプラスチックを使用しないことが重要か

海にあるゴミの80%から85%がプラスチックだそうです。その半数は、海に捨てられたプラスチック製のストローです。これらは海洋生物に悪影響を及ぼすだけでなく、海を渡る鳥たちが誤飲して命を落とすこともあるのです。

その他、各国で処理しきれないプラスチックのゴミを何十年間も中国が輸入してきました。
その国々とは、アメリカ、イギリス、ドイツ、メキシコ、そして日本なのです。しかし、2017年に中国はこれらのプラスチックゴミの輸入を禁止することを発表しました。つまり、今後、自国で処理しきれないプラスチックゴミをどうするのか?それらは各国が各々に施策を立てなければなりません。

イギリスでは紙コップを廃止への動き

また、紙コップにもプラスチックが使用されています。コーヒーショプでホットドリンクを頼んだときに提供されている蓋のみならず、カップの内側はプラスチックでライニングされています。イギリスでは、このコーヒーカップのほとんどはリサイクルされていないそうです。そのため、コーヒーショップなどで使用されている紙コップのゴミ削減を目的とし、「紙コップにつき25p(日本円:約37円相当)をチャージをし、それでもゴミの量の改善が見られない場合は5年以内に紙コップの使用を廃止する」と2018年1月にイギリス政府が発表しました。

これを受け、イギリスのスターバックスでは翌2月より、紙コップ1つにつき5p(日本円:約7円相当)をチャージすることを35店舗で試験的に実施しています。また、マイマグカップやマイコップを持参するとドリンク代金より25p値引きされるそうです。その他、500店舗以上あるプレット ア マンジェ(Pret A Manger)では、再利用できるカップの持ち込みにつきホットドリンクが50p(日本円:約74円相当)値引きされます。

ドラスティックなのが、どこよりも早く、1983年にオーガニック食品を販売し始めたウエイトローズ(Waitrose) 。ウエイトローズのメンバーズカードを持参し何かを購入すると、1日1杯無料で温かいコーヒーや紅茶が飲めるというサービスを会員特典として行っています。これまではウエイトローズが紙コップを提供していましたが、4月にそれを廃止し、再利用できるカップを持参するように呼びかけています。これにより年間5200万個以上の紙コップがゴミにならずに済むそうです。このような各小売店の動きが、紙コップのごみを減らすことに大きく影響するのだと思います。

成功例のひとつとして、イギリスでは、「250人以上の従業員がいる小売店では、ビニール袋1つに対して5pチャージしなければならない」という法令が2015年10月より実施されています。それから一年も経たないうちに、ビニール袋の使用率は85%減らすことができたそうです。(出典:Telegraph )

会社規模でもできること KPMGプラスチックカップを廃止

世界4大会計事務所の1社であるKPMGは、イギリスに所在するKPMG全社でプラスチックカップを取り除くそうです。従業員が1,100人いるマンチェスターオフィスでは、試験的にプラスチックカップを取り除き、900人が提供された再利用できるボトルを受け取りしたということです。この成功事例を受け、同社は、2018年9月までにこの動きをイギリス全社で行うことを予定しています。これにより年間3百万個ほどのプラスチックカップをゴミにならず、経費削減にもなるということです。(出典:FINANCIAL TIMES)

インド、ムンバイでのプラスチックの使用は厳禁

一方、インドで最大の都市ムンバイではプラスチックの袋、カップ、ボトルなどすべてのプラスチックの使用が禁止された。もしこれに反すれば、最大25,000ルピー(日本円:約40,731円相当)の罰金および懲役3か月だそうです。マクドナルドやスターバックスは、すでに罰金を求められたそうです。(出典:The Guardian)

政府が法令として決定づけることもゴミを減らすことの解決策として大切ですが、小売店・企業や学校などの団体・家庭・個人単位ができることもあります。それが年間単位、日本や世界規模で考えると大きな結果に繋がるでしょう。

次回以降のコラムでは、ゼロ・ウエイストのショップの様子をお伝えしたいと思います。

(注釈)上記で述べた日本円は7月11日朝7時15分の為替レートとなります。

この記事を書いた人

鈴木 聖佳(すずき さとか)

約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。

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