アスリートヨガ指導員は現在、何名ぐらいいらっしゃるのですか?
アスリートヨガ事務局では、アスリートヨガ指導員養成講座を開催しています。初級講座の卒業生は、80名ほどいます。この講座は、1日7時間、計3日間で、主にヨガの知識を学びます。ヨガ指導歴あるいはスポーツ指導歴が100時間以上ある指導者が対象で、ヨガの講師だけでなく、トレーナーやスポーツ指導に携わっている人たちが集まり学びを深めます。
初級アスリートヨガ指導員になるためには、養成講座の認定試験に合格し、スポーツ指導員の基礎知識として、日本体育協会の資格(共通科目Ⅰ)および、普通救命講習が必須となっています。これらを満たした公認アスリートヨガ指導員は、約30名います。指導員ごとにバックグラウンドが異なるので、専門競技も様々です。
実際に、ヨガ講師を派遣したスポーツチームのトレーナーさんにお話しを聞いてみました。
◆法政大学アメリカンフットボール部 アスレティックトレーナー 関根健太さんにお話しを伺いました。
――どうしてヨガを取り入れようと思ったのですか?
「アメリカンフットボールという競技は、人との接触が常にあり、また常に複雑な作戦を考えながら動く競技です。なので、身体的にも精神的にも疲労が多く蓄積する競技なので、心も体もリラックスできると思いヨガを取り入れようと思いました。」
――実際やってみていかがでしたか?
「疲労で全身が痛かったという選手が、ヨガ後には痛いところがなくなったり、とてもリラックスできて寝そうになったという声が多くあり、実際に殆どの選手が心身共にリラックス出来ました。」
――今後どんなふうに生かしていきますか?
「9月よりシーズンが始まり、2週間毎に試合があるため、試合後のリカバリーとしてヨガを生かしていければいいと思っております。」
現在も、アスリートヨガ事務局の指導員がチームを組み、選手の状態を共有して指導を続けています。
◆リオパラリンピック ウィルチェアーラグビー 銅メダリスト 山口貴久選手にお話しを伺いました。
――ヨガを始めたきっかけ
「競技をしていく中で一番の課題が柔軟性だったが、人にケアしてもらう以外のストレッチを探しているときに選択肢の一つとして始めました。」
――ヨガを始めてみて感じたこと
「始める前はヨガというとポーズをとったりするもので、体の柔らかい人がやるものというイメージだったが、実際に始めてみると呼吸や心身をリラックスさせることが目的でストレッチはもちろん、コンディショニングにも非常に有用だと感じた。
実際、色々なストレッチ時や寝つきが悪い時などにヨガの呼吸を取り入れることでリラックスした良い状態を自身で作れるようになりました。」
アスリートにヨガを教えた講師にお話しを聞いてみました。
◆ケン・ハラクマ先生
――フットサル日本代表チームや法政大学アメフト部にヨガを教えたそうですが、アスリートに実際に教えてみて、一般の方に教えるのとは違う感想を持ちましたか?
「アスリートの方々のヨガをする目的が、それぞれの競技や種目によって全く違うということが一番の特徴だと思います。
体と心のバランスを整える意味では、アスリートの方も一般の方も共通する点は多々ありますが、競技や種目によって強化したり、柔軟性を求める内容が全く違うので、必要に応じてピンポイントでヨガの指導法を考えて行くことが大切になります。
結果を出すための底上げ効果と、より効率を上げて行くためのレバレッジ効果がヨガで大変期待されています。」
――アスリートならではのプログラムの工夫はどんな点にありますか?
「大きく分けて、パワーアップの為の強化型ヨガプログラム、もう一方でコンディショニング、リカバーリングの為のメインテナンス型プログラムに分けることが大切だと考えています。
実際の練習や試合に役立つパワーアップ型では、怪我の予防の為のヨガプログラムに重点を置き、コンディショニング、リカバーリングではリハビリを目的としたプログラムに重点を置きます。
ヨガの大きな特徴として他のトレーニング法と一番の違いは、フィジカルとメンタルの両方向からのアプローチが可能だと考えています。」
――アスリートヨガ事務局が今後目標としていることは何ですか?
まずはヨガの科学的根拠を示すことで、公式にチームや日本代表などのアスリートがヨガを取り入れやすい環境づくりを進めることと、トレーナー、コーチ、ドクターなど、現場の各専門職や研究者の方々と連携を取りながら、パフォーマンス向上やリカバリー、メンタル面など様々な分野でヨガが活用され、アスリートを支えるチームの一員としてアスリートヨガ指導員も一役を担っていくことを目指します。
また、ヨガを通じてアスリートをサポートすることが目的なので、スポーツを知る機会を増やしていく、ヨガを伝えるだけの一方通行ではなく、ヨガをする人たちにもスポーツの体験や観戦機会の提供ができれば幸いです。例えば、サッカー場でヨガをする、という場合には観戦チケットを付ける、など、サッカーの楽しさも知ってもらいたいです。
取材協力:一般社団法人アスリートヨガ事務局
この記事を書いた人
スタジオ・ヨギー/ヨギー・マガジン
コンテンツディレクター 七戸 綾子
studio yoggy presents「ヨガをする人たちのほんとうのところ」
ヨガスタジオ「スタジオ・ヨギー」を全国20カ所に展開する株式会社ロハスインターナショナルにて、コンテンツディレクターを務める。音声アプリ「音ヨガ」「寝たまんまヨガ」の企画・制作、広報誌やオウンドメディアの編集を経て、2016年「ヨギー・マガジン」を立ち上げ、ヨガにまつわる記事やストーリーを発信している。
これまで一番効果があったダイエットは、炭水化物、脂肪、糖分を抜く“リセットダイエット”だったが(-9kg減)、元来の食いしん坊が災いしてあっという間にリバウンド。鍼灸師であり食事療法士の辻野 将之氏に、東洋医学に基づいたホリスティックな視点を学び、食養生ジュニアコーディネーターに。現在は、旬のもの、ナチュラルな素材のものを美味しく食べることを心がけている。