2年に一度開催される食品飲料業界最大の見本市「アヌーガ‐世界食品メッセ Anuga 2019(以下、アヌーガ)」が2019年10月5日(土)~9日(水)の日程でドイツのケルンメッセを会場に開催されました。出展社の90%、来場者の80%が海外からという、まさに世界とつながる展示商談会です。

記念すべき100年目の今年は100ヶ国以上から7,500社を超えるサプライヤーが出展、190ヶ国以上からおよそ165,000人が来場しました。世界の食品トレンドが一堂に会するこの見本市でオーガニック製品はどのような立ち位置なのか、最新のデータとともにご紹介します。

オーガニック専門のトレードショーエリア

アヌーガの特徴ともいえるのが“10のトレードショーをひとつに”というコンセプトで運営されていることです。「アヌーガ・ミート」や「アヌーガ・ドリンク」など、それぞれ単独でも成立しうる10のトレードショーをひとつのメッセ会場に集約しているため、その規模と多様性には目を見張るものがあります。

そしてこのトレードショーのひとつにオーガニック専門の「アヌーガ・オーガニック」があります。今年の出展企業は272社。最も規模の大きいトレードショーエリアである「アヌーガ・ファインフード」の3,952社に比べるとまだまだ小さいものの、革新的な製品や意欲あるメーカーが集まった魅力あるエリアとなっています。

プラントベース製品のテイスティングコーナー(アヌーガ・オーガニックにて)

エリア内で人気のコーナーが「アヌーガオーガニックマーケット」です。他のトレードショーエリアに出展している企業のオーガニック製品が集められており、メッセ会場全てをまわらなくてもオーガニック分野のトレンドを知ることができます。

また、今年から導入された専用ステージでは「アヌーガオーガニックフォーラム」が随時開催され、第一線で活躍する専門家による講演が行われています。

今年のトレンドキーワードもオーガニック

アヌーガが発表した今年の食品飲料業界のトレンドは次の11のキーワードです。オーガニックに加え、ヴィーガンやベジタリアン、〇〇フリーなどオーガニック分野に関連するキーワードが並びます。

この中でオーガニックはNon-GMOやベジタリアンと並んでトップの出展社数。出展企業の数が重複しているとはいえ、全出展数7,590社のうちおよそ半数がオーガニック製品に携わっていることになります。

アヌーガの運営パートナーであるInnova Market Insightsの調査によると、世界市場におけるオーガニック認証食品の導入は2014年から2018年までに11%の伸びを示しており、オーガニック分野における新製品の割合は2014年の8.8%から2018年の10.5%へと拡大しています。

オーガニック専門見本市・ビオファとの違いは

オーガニック分野の見本市と言えば、同じくドイツで開催される「ビオファ BIOFACH」は外せません。今回のメッセ会場では今年2月に開催されたビオファに出展していたメーカーも数多く見受けられました。

オーガニック総合食品メーカー「DAVERT」はビオファではエンドユーザー向けの製品をプレゼンする一方、アヌーガでは原料供給元として出展するなど明確に出展スタイルを変えていました。

ビオファでのDAVERTブース(2019年2月撮影)

アヌーガでのDAVERTブース(アヌーガ・オーガニックにて)

一方でヴィーガンチーズメーカーの「Happy Cheeze」はビオファと同様にアヌーガでもスタートアップエリアに出展しており、少しでも販路を広げようとアピールする姿が見受けられました。

主力製品であるカシュ―ナッツベースのヴィーガンチーズが並ぶ(アヌーガ・オーガニックにて)

ビオファの場合は来場者の49%はドイツ国内からで、バイヤーの多くは自然食品やオーガニック分野専門となります(2018年実績より)。EU圏を輸出ターゲットにし、オーガニック分野の情報収集やマーケティングが目的であればビオファは最適ですが、販路は限定的となります。

その点、アヌーガはオーガニックに関わらず全世界からバイヤーが集まるため、販路は多岐にわたります。自社製品でオーガニック認証品と非認証品が混在している場合や輸出ターゲットが全世界であれば、アヌーガに出展する方がチャンスは大きいでしょう。

オーガニック製品を出品する際のポイントは

重要なのは自社製品の市場におけるポジショニングと特徴を明確にすることです。市場にはオーガニック製品が増えているため、特徴が不明瞭な製品や既存製品に似通っているものにバイヤーが足を止めることはありません。アヌーガ・オーガニックでも注目を集めていた多くの製品は新しい価値を提供するものでした。

例えば温めるだけで食べられるヴィーガンランチボックスやハーブやスパイスをベースにしたリキッド調味料。カテゴリーとしてはありふれていても、豆類を練り込んで機能性を高めたカラフルなパスタなどが挙げられます。

クール&チルド対応のヴィーガンランチボックスを提供する「LUNCHVEGAZ」のブース。タイカレーやチリシンカーンに加え、ヒマワリの種を使ったベジタリアンミートのメニューも紹介(アヌーガ・オーガニックにて)

バジルやタイム、唐辛子やにんにくなど様々なリキッド調味料が並ぶ(アヌーガ・オーガニックにて)

枝豆やひよこ豆、さつまいもなどを使ったカラフルなパスタ(アヌーガ・オーガニックにて)

ドイツの生産者協同組合「Landgard」の展示コーナーでは“オーガニック×フェアトレード”、“オーガニック×ローカル”など特徴ごとにカテゴライズした陳列をしており、多様なニーズへの対応力が伝わってきます。

オーガニック&フェアトレードをアピール(アヌーガオーガニックマーケットにて)

オーガニック&ローカルをアピール(アヌーガオーガニックマーケットにて)

今回のアヌーガ訪問を通して感じたのは、食品飲料業界でオーガニックはもはや無視できないキーワードになっているということです。アヌーガ・オーガニックの盛り上がりを見ても、注目度とポテンシャルの高さをひしひしと感じます。

しかしメッセ会場全体を見渡すと、数字が示すほどの存在感は感じられず、トレンドのひとつにすぎない印象がぬぐえません。

追い風の今だからこそ、オーガニック分野が業界のメインストリームとなるよう、さらなる成長を目指す必要があります。そのためにも是非、日本企業には世界を見据えたオーガニック製品の開発に力を入れ、海外の展示会に挑戦していってほしいものです。

この記事を書いた人

神木桃子(こうぎももこ)

ドイツ在住オーガニックライター
オーガニック専門店を運営する会社での販売・バイヤー職、地域産品のコンサルタントや販売を行う会社での営業・バイヤー職を経て、2014年秋よりドイツに移住。商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積んだエキスパートならではの視点で、ドイツのオーガニック&サステナブル情報を発信している。3歳になる娘を子育て中。

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