2006年10月「有機農産物の日本農林規格」一部改正が公示されました。(平成18年10月27日農林水産省告示第1463号)。これにより、きのこ類の有機表示が認められるようになりました。

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有機農産物の日本農林規格

第2条 有機農産物は、次のいずれかに従い生産することとする。

(1)農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力(きのこ類の生産にあっては農林産物に由来する生産力を含む。)を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること。

(2)採取場(自生している農産物を採取する場所をいう。以下同じ。)において、採取場の生態系の維持に支障を生じない方法により採取すること。

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有機農産物及び有機加工食品のJAS規格のQ&A
平成19年1月
農林水産省 消費・安全局 表示・規格課

(問73)きのこ類においては、どのような栽培方法が対象となるのですか。
(答) 本規格においては、従来からの有機農産物と同様に、きのこ類についても「土」のある 場所(ほ場)での栽培が前提です。きのこ類の栽培方法は大きく分類して、原木栽培、たい肥栽培、菌床栽培の3種類がありますが、いずれも「土の上」や「土中」での栽培が対象となります。自然林等にあるほだ場だけでなく、ビニールハウス等での施設栽培も対象となりますが、施設内においても「土の上」や「土中」での栽培が対象となります。なお、空調設備をもった半閉鎖系施設での栽培は、自然循環機能の維持増進を図り、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法にはあたらないことか ら、本規格の対象となりません。気象条件などに応じて施設内を換気したり、加温するこ とは可能です。ただし、施設内を加温する場合には、林内管理等の際に生じた間伐材や廃ほだなどを活用することが求められます。たい肥栽培で、稲わらなどを原料としたたい肥を植菌前に蒸気等で殺菌することは可能 です。菌床栽培においても、菌床への植菌前に蒸気滅菌することは可能です。その後の培養 については、土中埋設あるいはほ場の上に菌床を置いて栽培するものが対象です。

(問74)きのこ類の栽培において、ほだ場やハウス等の施設内についても転換期間 が必要ですか。
(答) ほだ場等はきのこ栽培における「ほ場」にあたり、種菌の植え付け前2年以上の転換期 間が必要です。ただし、開拓されたほ場又は耕作の目的に供されていなかったほ場であっ て、2年以上使用禁止資材が使用されていないほ場で新たにきのこ類の栽培を開始した場 合は、転換期間を種菌の植え付け前1年以上に短縮できます。

(問75)第4条の表ほ場における肥培管理の項の第2項の(2)の樹木に由来する以外の資材の ア農産物 イ加工食品 ウ飼料は有機JASマーク ( 格付)が貼付なされたものでないと使用してはいけないのですか。
(答) 有機農産物のJAS規格等の生産基準に従って生産され、格付された有機農産物等の副 産物(有機米の稲わらや米ぬかなど)を資材として利用することができます。 よって、必ずしも格付の表示がされている必要はありませんが、有機農産物等由来であ ることを確認して使用する必要があります。

(問76)第4条の表ほ場における肥培管理の項の第2項の「たい肥栽培きのこの生産において、これらの資材が入手困難な場合」とはどのようなことをいうのですか。
(答) たい肥栽培きのこの生産の場合には、有機農産物等の生産実績がない、あるいは非常に 少なく、たい肥栽培に必要とする量が手当てできない場合です。

(問77)種菌はどのようなものが使用できますか。
(答) 種菌は 「きのこの菌床製造管理基準 」(4林野産第38号林野庁通達)で定義された、 きのこ栽培用の種(タネ)として使用することを目的とした菌体および培養物で、その種 の菌糸が純粋に、かつ適度な条件下で培養されたもののうち菌床を含めないものが使用できます。また、種菌を製造する資材は 「ほ場に使用する種子、苗等又は種菌」の基準によるとおり、有機農産物の生産の方法に従って生産された資材を使用します。

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▽参照ページ:農林水産省 資料
有機農産物の日本農林規格
平成18年10月27日農林水産省告示第1463号
https://www.maff.go.jp/j/council/sizai/tokutei_noyaku/08/pdf/ref_data5.pdf

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