新型コロナウイルスの猛威にさらされ、3月中旬からいわゆるロックダウン(都市封鎖)の状態となったドイツ。5月末現在、その感染者数は18万人に達し、死者は8千人を超えています。
ドイツ政府は5月に入り新規感染者が落ち着いたとしながらも、引き続き慎重な姿勢を維持。学校の段階的再開や商店の営業再開などを認めたものの、1.5メートルの対人間隔の確保や、特定の公共の場所でのマスク着用義務などの衛生・制限措置は引き続き延長されることとなりました。
新しい生活様式の中で動き始めた街
5月下旬に最寄りの商店街を訪れると、感染対策を施しながら、活気を取り戻しつつある街の姿を見ることができました。どの店も営業を再開し、カフェのテラス席では気持ちよさそうにお茶を飲む客の姿が。以前と変わりない姿かと思えば、実はそうでもありません。
商店の営業に際して、筆者の住むNordrhein-Westfalen州では次のような規定があります。(※衛生・制限措置は州によって対応が異なる)
・販売面積10㎡当たり客1人となるようにする
・店舗内や行列では1.5m以上の間隔を維持する
・マスク着用義務
そのため多くのスーパーでは人数管理と間隔保持ができるショッピングカートを入店時の義務とし、客の出入りを管理しています。
オーガニックスーパーでも同様の対策
よく買い物に訪れるオーガニックスーパーでも出入口に“ショッピングカート義務”と書かれた立て看板が。入店すると、出入口横に常駐している店員から、その場で待つよう声がかけられます。そして他の客が使い終わったショッピングカートを持ってくると、持ち手をアルコール消毒してから渡してくれるという流れです。
店内に入ると飲食スペースは閉鎖、対面式のパンや精肉の売場、そしてレジには仕切り版が設置され、直接の接触を出来るだけ避けられるよう対策が取られていました。
では屋外にある市場ではどうなっているのでしょうか。
オーガニック野菜のスタンドでは独自の工夫
毎週土曜日に出店しているオーガニック野菜のスタンドは透明な仕切り板を設置。客は品物には触れずに口頭で注文、仕切りの下から品物を受け取ります。
また、スタンドの前には客同士の間隔を空けるために箱を置いています。通常は右から左へ移動しながら品物を選んで注文していくスタイル。しかし現在は空いたスペースに一組ごと入り、そこから動かずに全ての注文を行います。
隣の花屋は仕切り版など特に設置せずに営業を行っており、店のよって対策は様々。しかし目に見えない配慮だけよりは、物理的な対策の方が安心感は断然上です。
今後、選ばれる店となるには感染対策への姿勢も重要になってくるかもしれません。
感染拡大防止と社会経済活動の両立に舵を切ったドイツ。終わりの見えない闘いの中で、オーガニック業界はどう変化していくのでしょうか。
そこで次回はコロナ禍におけるオーガニック業界や企業の動きをピックアップして紹介したいと思います。
この記事を書いた人
神木桃子(こうぎももこ)
ドイツ在住オーガニックライター
オーガニック専門店を運営する会社での販売・バイヤー職、地域産品のコンサルタントや販売を行う会社での営業・バイヤー職を経て、2014年秋よりドイツに移住。商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積んだエキスパートならではの視点で、ドイツのオーガニック&サステナブル情報を発信している。3歳になる娘を子育て中。