ヨーロッパでは、オーガニック食品の選択肢が当たり前のように広がるなか、脱プラスチックのトレンドもあり、オーガニックやゼロ・ウエイストの専門店ではない小売店も、ばら売りをするようになり始めています。通常であればパッケージに「オーガニック」そして「オーガニックの認証マーク」を合わせて表示しているが、ばら売りをする場合、どのようにオーガニック食品であることを表記すれば良いのか分からないという不安の声もあります。

またオーガニックだけではなく、ヴィーガン、グルテンフリーなども同様に多くの消費者に支持、認識をされています。特に加工食品に関しては、オーガニックでありながらもヴィーガンに適した食品や、ヴィーガンでありながらグルテンフリーであるなど、食品のキーワードが複数重なることが、ここ数年に販売された加工食品の一般的な傾向です。これらのキーワードが複数重なることで、売り場づくりをどのようにしたらよいか悩む小売店もいるのではないでしょうか。オーガニック食品であるけれども、ヴィーガンの棚に並べるべきか?それともオーガニック食品の棚に置くべきか?このような悩みはないでしょうか。

プライスカードに取り入れるシンボルマーク

2020年10月現在、ロンドン市内に9店舗構えオーガニック専門スーパーマーケットとしては最大のプラネットオーガニック(Planet Organic)の事例です。

プライスカード右下に見られるのが、商品特徴を表す小売店オリジナルのマーク

ご覧頂いて分かるように、プライスカードに以下のようなシンボルマークを取り入れています。

【それぞれのマークの詳細】

 乳製品フリー
牛、山羊、羊など、動物の乳から作られた成分は含まれていません。また、卵は乳製品とは見なされません。

 認証済みグルテンフリー
しきい値が20ppm (100万分の1)未満のグルテンを含まないものとして、測定およびテストされ認証を受けたグルテンフリーの食品を指します。

 グルテン不使用
グルテンを含む穀物を使用せずに作られています。但し、認証済みのグルテンフリーではありません。オリーブオイルやアーモンドバターなど、もともとグルテンを含まないが、テストされていない食品に適用されます。

 オーガニック
ソイル・アソシエーション(soil Association)など、国際的に認められた有機認証機関によって認証されているオーガニック食品を指します。

 ヴィーガン
肉や魚、乳製品、卵、蜂蜜などの動物由来の成分は含まれていません。

 べジタリアン
肉、魚、家禽、狩猟肉、甲殻類、または動物のと畜の製品は原材料に含まれていません。

 小麦フリー
小麦、スペルト小麦、カムット小麦から作られた成分は含まれていません。

日本でもベジタリアンやヴィーガンを食生活で選択する人が増えつつあるようです。有機食品と異なり、必ずしもそれらに適した食品が認証マークを取得しているわけではありません。これらのキーワードに強い関心を持つ消費者は、やはり原材料も注意して見ていることでしょう。しかし、消費者が商品を手に取り、パッケージ裏面に表記されている詳細をひとつひとつ丁寧に確認するには手間がかかります。各小売店が、独自でこのようなシンボルマークを作ることで、商品の特徴を表記しやすく、消費者にとっても分かりやすいと感じます。

パレットボックスに敷かれたシートで識別

こちらは、スイス最大のスーパーマーケットチェーンのミグロス(Migros)の売り場です。このスーパーマーケットは顧客の健康を考慮し、なんとアルコール飲料とたばこを販売しないというポリシーです。2018年、スイスはデンマークと並び、1人あたりのオーガニック食品の消費量が世界中どの国よりも多かった国です。

独自の有機認証が入ったマーク(上:オーガニックチョコレート、下:オーガニックパスタ)

オーガニック食品のカテゴリーでは、独自のミグロス有機認証マークが印刷されたプラスチックや紙製のパッケージ、または有機認証マークのシールを商品に貼付しています。

ミグロス独自の有機食品ビオマークが入ったシートで識別できる

また量り売りもされており、上記写真のように、ビオマークを印刷したシートを野菜パレットボックスに敷いて販売しています。

これまで、プライスカードや棚のレールPOP(棚帯)に有機認証マークまたはオーガニックと表記し、区別する売り方を多く目にしてきました。しかし、有機認証マークを印刷したシートを使用する売り方を見たことがなかったので、これは良いアイディアだと思いました。

独自のビオマークと地産地消、国産国消

このミグロスは、2018年の売り上げが285億スイスフラン(10月04日現在、約3兆263億円相当)の規模でスイス最大のスーパーマーケットです。ミグロスは、1995年よりスイスのオーガニック認定機関のビオ・スイス基準に沿った有機農業生産者と提携しています。そこから仕入れている食品には、ビオ・スイスの認証マークの表示なしでミグロス独自のビオマークをつけることができます。これらは、スーパーマーケットが直接契約している有機農家の青果物をはじめ、プライベートブランドのパスタやチョコレートなどの加工食品についています。また2017年、このオーガニックラベルに加え、スイス国産のオーガニック食品にはミグロスビオスイスのラベルが登場しました。

地元のティチーノ州産の有機のきゅうり

有機ではないが、スイス国産のトマト

スイスは26の州に分かれています。その土地でとれた青果物が分かるように売り場のプライスカードやパッケージに表示されており、「地産地消」や「国産国消」を強化している売り場づくりだということを感じます。

Coopの売り場、プライスカードやスイスビオ認証マークで国産国消を促す

ちなみに、ミグロス以外のスイス大手スーパーマーケットチェーン、Coop(コープ)の売り場も「国産国消」を押している様子です。

サプライチェーン流通は、売り物の食品が小売店に届くまで時間やコストがかかります。しかし「地産地消」や「国産国消」に積極的に取り組むことで、それらの運送にかかる時間及びCO2排出量を削減し、小売店は、より新鮮な状態の食品を消費者に販売できるという利点があります。そして、これにより食品廃棄物を減らすこともできるでしょう。気候変動に一刻も早く歯止めをかけなければならない私たちにとって「地産地消」または「国産国消」を意識した消費を促すことは、今後さらに加速して行くでしょう。

この記事を書いた人

鈴木 聖佳

約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。

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