日本初上陸の「Bio c’ Bon (ビオセボン)」。記念すべき第一号店が、2016年12月9日(金)東京港区の麻布十番、旧ピーコックストア跡地に誕生した。麻布十番といえば、昔ながらの町並みを残すエリアでありながら、六本木や広尾からほど近く、大使館やインターナショナルスクールも立ち並ぶ、都内屈指のセレブの街だ。そんな好立地にオープンした、Bio c’ Bon (ビオセボン)麻布十番店の売り場面積はおよそ130坪。ちなみに、同フロアで隣にオープンしたPicard(ピカール)は50坪だそうだ。

Bio c’ Bon (ビオセボン)初回の全取扱品目数は、3,000SKUを超えるという。ワインやチーズのほか、加工食品なども含めおよそ1,000SKUが輸入の有機食品。農産物、生鮮品などはもちろん国産がメインで、国産の有機食品、調味料や加工食品なども多数取扱っている。フランスのイメージが強い店舗だが、取扱割合は結果として輸入品より国産製品が多くなった。

新業態、新店舗を立ち上げるにあたり様々な苦労があったが、中でも特に大変だったのが、直輸入だったという。グローサリーだけでも200点以上で、オープン前日の時点で通関まちとなっている製品も。オープン日に合わせて大量の新商品を輸入し、導入することはさぞかし大変だったことだろうと想像がつく。初回輸入元はイオンリテール株式会社となっており、有機JASを取得するところまではいっていない。Bio c’ Bon (ビオセボン)が率先して有機JAS製品を扱い、また、直輸入品の認証を取得することが一般消費者の有機食品の認知拡大にも大きく貢献していくと思うので、今後の対応に期待している。

直輸入品に対して、セレクトの基準などについて尋ねたところ、第一に美味しいこと。そして今あまり日本で流通していないようなものなどを意識して品揃えしたという。グルテンフリーのもの、VEGANのもの、珍しい缶詰類、日本では一般的ではない穀類や豆類といったものまで、ここでしか買えないという製品がずらり。また、今後のBio c’ Bon Japonとしてのオリジナル商品(PB)の展開については、すぐにということではないものの可能性はあるとのこと。独自のルートで調達した直輸入品に加えてオリジナル製品が増えれば、Bio c’ Bon (ビオセボン)の個性、魅力が増し、他の専門店との差別化、強みとなっていくだろうと思う。

Bio c’ Bon (ビオセボン)のイメージカラーやデザインにはじまり、フランスから輸入した製品、チーズやワイン、海外でスタンダードな量り売りの売り場展開など、現地の考え方やノウハウがここかしこに散りばめられている。そんな中、日本の消費者に向けてアレンジし、一番こだわったのが対面キッチンの「デリコーナー」とのことだった。フランスでは最近、日本のBENTO(弁当)文化に注目が集まっていることもあって、「フランスの店舗には無いが、日本ではデリコーナー(総菜売り場)が無いことにはBIOが伝わらないだろう」と、フランス側からデリコーナー展開の提案があったという。

店舗の中央に大きく、ぐるりと円型に作られたデリコーナー。テイクアウトの弁当類をはじめ、店内で焼き上げたパンで作ったサンドウィッチ、有機野菜のサラダ、出来立ての総菜、デザートなども販売される。


店内のレイアウトは、入り口入ってすぐに有機野菜コーナーがあり、店内中央に印象的な多面キッチン型デリコーナー(チーズ、総菜、弁当、デザート、コーヒー等)と、手前にイートインコーナー。このデリコーナーとイートインスペースにかなりのスペースを割いている。セルフ方式のオーガニックコーヒースタンド以外、サラダや総菜類は、自分で容器に盛って量り売りというスタイルではなく、基本的に対面式で手渡しし、総合レジでお会計というスタイルだ。

入り口右手前から壁に沿って、バルクコーナー(ドライフルーツなどの量り売り)があり、

ワインコーナーでは直輸入のビオワインが充実の品揃え。(日本酒やビールなども販売)


そして、冷凍、冷蔵の肉魚類、日配品、乳製品の冷ケースと続く。有機畜産品が充実していたのが印象的だった。イオンのグリーンアイ、国産の肉類だけでなく、海外のオーガニックチキン、オーガニックポーク、オーガニックビーフ、オーガニックラムなどもある。MSC認証やASC認証の水産物も含め、畜産品、水産品のオーガニック&ナチュラルなものを、ここまで品揃えしているお店は初めてではないだろうか。

店内奥右手は、加工食品コーナー。お菓子や調味料、有機食材など、国産品コーナー、輸入品コーナーに分かれている。店内奥左手はウェルネスコーナー(日用雑貨、ベビー、ボディケア、スキンケア、ヘアケアなど)で、一部、健康食品もある。現段階では、食品に比べて控えめな品揃え。デイリーケアは、ヨーロッパの老舗オーガニックコスメメーカー、WELEDA(ヴェレダ)、LOGONA(ロゴナ)、Dr.Hauschka(Dr.ハウシュカ)、Lavera(ラヴェーラ)などが中心。タッチアップコーナーがなく、スペース的にもまだ余裕があるので、これからの品揃えの強化や売り場づくりに期待したいと思う。

スタッフ教育については、まずビオ(オーガニック)についての基本的なことにはじまり、ビオセボンとしてのスタンス、商品についてなど全体的なことから研修をオープン前に行ってきた。セクションごとに担当を設けているわけではないようだが、スタッフには「コスメでも、ワインでも何でもいいので、まず自分の好きな分野1つでもいいから、そこからビオについての知識を少しずつ深めていってほしい」とのことだった。

今後、BIO(オーガニック)をより身近に感じてもらうための、地域住民の方を招待してのイベントの実施、店内のイートインスペースを使ってのセミナー開催も検討しているという。Bio c’ Bon (ビオセボン)の「Bon」は、フランス語で「美味しい」「良い」を意味する。屋号「Bio c’ Bon (ビオっていいね)」のとおり、オーガニックの美味しさや良さを、日本の消費者に伝えていく活動や展開に、これからも注目していきたい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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