食の展示・商談会が多数開催される春。今年も東京ビッグサイトや幕張メッセには国内外から多くのバイヤー、業界関係者が一堂に集まった。昨年に続き、オーガニックフードゾーンを設けたり、展示会と並行してセミナーやステージ企画を開催する展示会が多い。また、海外からの観光客が増えているため、ベジタリアン(ヴィーガン)やハラール食材などのインバウンド需要を意識した製品を紹介する企業も多く見られた。日本食や食文化への関心の高まりから、食品の輸出に向けた製品PRも、ここ数年展示会でよく見られる傾向だ。

オーガニックのラインナップを強化する動きがあることは、とても喜ばしい流れではあるのだが、主催者による出展基準、ゾーン展開の仕方、各ブースの並びなどによっては、展示会の中での「オーガニック(有機)」「ナチュラル(自然派・無添加)」「ヘルスケア(健康)」の境界があいまいになりやすい。

オーガニックとナチュラル、大きな分類には入るが別物。その違いに関して業界に長くいる私たちは当然認識しているが、思っている以上に消費者を含む一般の人たちにとって、わかりにくいものらしい。さらに、オーガニックを選ぶ理由が「健康のため」と答える人が多い日本。ドラッグストアなどのサプリメントや健康食品の売場で、スーパーフードなどオーガニック食品が増えてきた今、ますますヘルスケア食品との境界線が分かりにくくなってきている。

2018年春 
主な食の展示会・商談会

2/8~10 東京ビッグサイト
■第85回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2018
■第23回グルメ&ダイニングスタイルショー春 2018

1/31~2/2 東京ビッグサイト
■健康博覧会2018
「オーガニック&ナチュラル・プロダクツ展」ゾーン展開

2/14~16 幕張メッセ FOOD TABLE in JAPAN 2018
■第52回スーパーマーケット・トレードショー
■第13回こだわり食品フェア2018

3/6~9 幕張メッセ
■FOODEX JAPAN 2018
「オーガニック&ウェルネス」ゾーン展開
オーガニックをテーマとするセミナープログラム実施

4/11~13 東京ビッグサイト
■第21回ファベックス2018
第1回オーガニックフードEXPO 2018

オーガニックを専門に扱う流通業のみならず、いわゆるスーパーやコンビニ、GMS、百貨店、外食産業等、幅広い業界からの来場が見込める展示会。ここで製品を紹介することは出展者にとって新たな販路開拓につながり、セミナーが開催されることは、国内外へオーガニックを広める絶好のチャンスとなる。今までオーガニック製品に興味のなかった来場者にとっても、目的の分野の製品と同フロアにあるこで良品との偶然の出会いも期待でき、比較検討もしやすいというメリットもある。

とはいえ、食品・健康関連の展示会に出展するオーガニックメーカーは、増えてきたとはいえまだごく一部。そんな中、各企業のブースが散らばってしまっていては埋もれてしまう。また、他と変わらない無機質なパーテーションで区切られたブースでは、オーガニックらしさが見えず見過ごされてしまいやすい。出品アイテムの基準を明確にする、認証製品を扱う企業をまとめる、フロアカーペットや天然素材を用いるなど、主催者側もオーガニックゾーンの魅せ方は工夫してほしいなと思う。出展する側もまた、商品や企業の魅力をビジュアルでも伝えていく努力を、もっとしていかなければならない。

今までオーガニックに興味や関心がなかった人の気持ちも惹きつけ、オーガニックの価値を効果的に伝えるには、やはりその他大勢のなかでではなく、オーガニックメーカー(製品)でがっちり固めることが有効な手段となる。また、出展(出品)に際し基準を明確にすること。全体としてメッセージ性のある魅力的な会場づくりをすること。わざわざ足を運びたいと思うような、専門性の高いセミナーや企画イベントを設けること。異業種の方にも足を運んでもらえるよう、幅広い層へと告知PRすることも大事だ。

この春の各展示会を巡り、今後もますますオーガニック広がっていくであろうことを実感。そんな今だからこそ、あらためて専門性の高いオーガニック展示会の必要性を強く感じている。秋の展示会シーズンには、昨年に続きオーガニック専門展示会が開催される予定だ。ワクワクするような魅力ある展示会となることを期待したい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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