ニュージーランドをベースに、長年アジアの市場調査や輸出入をウォッチしてきたBrendan Hoare氏(前IFOAM世界理事)の来日を受け、日本のオーガニック業界関係者との情報交換会が、OFJ(一般社団法人オーガニックフォーラムジャパン)呼びかけで実現。6月8日(水)都内某所にて、情報交換会を兼ねたミニセミナーが開催された。

Brendan Hoare氏のプレゼンテーション、New Zealand Organic Market Report(ニュージーランド オーガニックマーケットレポート)によると、世界的に成長を続ける有機市場同様、ニュージーランドのオーガニック市場も例にもれず、年々拡大しているという。2009年から比較して倍増し、2015年の輸出を除く国内市場は$217,000,000となった。
(2009年 $104m (Millionz of NZ$)⇒2012年 $133m⇒ 2015年 $217m)

これらオーガニック市場急成長の理由として、一般のスーパーマーケットでのオーガニック製品の扱いが増えたことが非常に大きいという。彼らは、日々リサーチを行う中で消費者のニーズを把握しており、オーガニックはもはや一部の人たちの特別なものではなくメインストリームになりつつある、ということも理解。そのような流れから、自然とオーガニックの取扱いが増加してきた。そして顧客の購買履歴調査、データの分析といったマーケティングデータを活用することで、品揃えや価格、サービス全体の顧客満足度をさらに高めている。

国外への輸出量も右肩あがりに成長している。(2012年から11%増)主な輸出先としては欧米が中心であり、北米とヨーロッパで全体の半分を占める。ここ数年は安定もしくは減少傾向にあるが、中国をはじめその他アジア諸国ではオーガニックの広がりに勢いがみられている。欧米でのオーガニック市場の成熟に伴い、今後ますます、アジアにおけるオーガニック市場の成長に期待が高まっている。

2012年 Total $215,000,000
2015年 Total $240,510,000

■North America 24%
■Europe 26%
■Australia 16%
■Japan 6%
■Korea 7%
■China(incl HK) 10%
■Other Asia 9%
■Otders 1%

ニュージーランドでは、「大量生産ではなく価値を高める」という政府の政策がとられているという。例えば、ワインの原料となるブドウの生産について、地理的表示保護制度を導入したり、遺伝子組み換えを規制、減農薬に取り組み、2020年までに全体の20%をオーガニックにするという明確な目標を立てている。キウイやりんごなども、具体的な数値目標をもち政策として最低限の環境の基準を設ける。それが全体のボトムアップにつながり、ひいては製品やブランド価値があがり、結果としてオーガニック市場の成長にもつながっている。

■Brendan Hoare(ブレンダン・ホアレ)氏プロフィール 
Long Breath Farm(4haの有機認定農場)経営。Buy Pure New Zealand
経営ディレクターとしてオーガニック・ナチュラル・フェアトレードのビジネスをアジア・オセアニア 圏でサポートしている。Organic AotearoaNew Zealand 最高経営責任者として、国内の有機農業、有機食品の業界の声を政府に届ける役目を果たしている。前IFOAM世界理事。2014年国連家族農業年国際コンサル委員会オセアニア地域代表。 東アジアオーガニックフォーラム前理事(現IFOAMASIA)。オーガニックの専門情報誌OrganicSystemを創立。有機農業や食品業界へマーケット情報やPGS(参加型認証システム)の導入・有機認証についての情報など正しい情報、新しい情報を伝え続けている。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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