台湾では、炒米粉(ビーフン)や、米苔目(ビータイバッ)といった米を原料にした麺類を食べる食文化がある。特にビーフンに関しては、有機うるち米を使用したもの、玄米を使用したもの、野菜を練りこんだものなどバラエティも豊か。自然食品店などでは様々なタイプの健康的な乾麺を購入することができる。
「FOOD TAIPEI 2016」でもたくさんのメーカーが出展していたが、有機麺を製造するこのメーカーが紹介していたのが、スパゲッティータイプの米麺、有機玄米を使った玄米パスタだ。
有機羽衣甘藍糙米糆條(Organic Green Kale & Brown Rice Spaghetti)は、台湾産有機玄米に有機ケールを練りこんだもの。有機蕎麥糙米糆條(Organic Buckwheat & Brown Rice Spaghetti)は、台湾産有機玄米と蕎麦。そして、有機薑黃糙米糆條(Organic Turmeric & Brown Rice Spaghetti)は、台湾産有機玄米にウコン(ターメリック)を練りこんだもの。どれも、台湾の有機認証を取得している。
パッケージには中国語表記の他に、英語表記で原材料や栄養成分、茹で方がなども記載されている。小さく「全素」(VEGAN)の文字もある。また、特別にマークがあるわけではないのだが「無麩質」、つまりグルテンフリーであることも、製品の特徴のひとつとしてパッケージに記載されている。台湾ではまだ欧米、日本のようなブームはなく、グルテンフリーを声高にうたって販売するような気配は見られなかったが、世界のトレンドを意識してか、少ないが消費者ニーズに応えてのことなのか、今後の海外進出を見越しているかのような商品開発をしているなと感じた。
有機蕎麥糙米糆條(Organic Buckwheat & Brown Rice Spaghetti)を試してみた。中身は一般的なパスタの乾麺のようにまっすぐではなく、ふんわりと丸めたまま乾燥させた形状。実際に茹でてみたが、沸騰したお湯に入れるとほどけやすく、ロングパスタよりもむしろ茹でやすかった。全粒粉パスタのように、ボソボソしているかと思ったら、もっちり感もつるりとした食感もあって、小麦を使っていないのにちゃんとスパゲッティを再現している。
オーガニックの認証を取得しているだけでなく、ヴィーガンやグルテンフリー、ホールグレインといった健康のキーワード、アジアらしさのパッケージの中にも英語表記を取り入れるなど、台湾では有機加工食品の製品開発が既に一歩先を進んでいるなと感じる。
有機農産物加工品の消費拡大、日本の米や米製品を世界にPRしていくには、これからの時代はオーガニックであることが必要不可欠になってくると思う。健康志向のラーメンブームや、グルテンフリーなどのトレンドが世界的になっている今だからこそ、急速にチャンスも広がっている。ようやく日本でも、米粉のパンやパスタなど、グルテンフリー製品を手掛ける企業もでてきたところだが、まずは増粘剤やでんぷんなども含めて、できるだけ余計なものを使わない製品づくりからはじめなければ。次に有機原料を積極的に使用する、そしてさらには有機認証を取得するところまで・・・。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。