¡Hola! 皆様こんにちは。

既にご周知のとおり、昨今のコロナウイルスの影響で、スペイン政府は国家非常事態を宣言し、3月15日より行動制限の措置が取られ、学校や商業施設の休業、通勤規制、外出規制が行われています。弊団体も、認証する事業者の品質を管理するべく全社員が在宅勤務にて引き続き営業しております。

在西約20年にて初めて経験する状況に不安を覚えながらスタートしましたが、下名が在住するセビリアでは、予想に反し、皆、きちんと規制に従い、慎重に行動しています。どんなに暑くても、どんなに寒くても、どんなに忙しくても街中のバルや広場でビールやワインを片手に皆で集ってワイワイやるのが大好きなスペイン人にとって、この上なく辛い事に違いないのですが、きっとおとなしく従って一刻も早くこの事態を乗り越え、日常を取り戻したい、という思いが強いのでしょう。

毎日20時には、皆、バルコニーに出て、前線で闘う医療従事者の方々を英雄と称えるための拍手を送ることがいつもの習慣になりました。

前線で闘うという意味では、この非常事態においても、政府が国民に約束した通り、食料の供給を途絶えさせないように働いてくださってる農業従事者、食品産業の方々にも大きな感謝の念を覚えずにはいられません。彼らも英雄たちであり、弊団体の認定事業者の多くも、引き続き営業を続け、この状況下、安全な食品を市場に届けてくださっています。農業食品産業の一端に関わるものとして、大きな拍手と感謝の気持ちを送りたいと思います。日本の皆様もくれぐれもご自愛ください。

さて、今回から認証事業者様を訪問してインタビューをしていきたいと思っていたのですが、現状では実際に伺うことが叶いませんので、メールや電話でのやり取りでお伺いしました。先方もこの非常事態での勤務体制を整えるため忙しくされており、インタビューの時間がなかなか取れず、この記事の投稿も遅くなってしまいましたことをお詫び申し上げます。

今回はアンダルシア自治州の東部、ハエン県にあるオリーブオイルの事業者、Sierra de Genaveシエラ・デ・ヘナベの代表、Adolfo Sánchez Lozanoアドルフォ・サンチェス・ロサノさんにインタビューさせていただきました。とても素晴らしい環境に恵まれた場所にありますので、いつかぜひ訪問させて頂きたいと願っています。皆様にもこの記事を通してしばしスペインのアンダルシアに広がるオリーブ畑に思いを馳せていただけたらと思います。

シエラ・デ・ヘナベの代表、アドルフォ・サンチェス・ロサノさん

Q. アドルフォさん、まずはシエラ・デ・ヘナベについてお聞かせください。非常に珍しい環境の場所にございますが、この場所の特徴について教えていただけますか?

A. ヘナベはハエン県にある小さな街で、シエラ・デ・セグラという山地の地域の北部にあります。当地はシエラ・デ・カソルラ・セグラ・イ・ラス・ビリャス自然公園の一部で、その環境特性により、生物圏保護区の認定を受けています。

当地の風景は、非対称斜面の広い谷と、標高1,296 mのピカルソ山頂にある隆起レリーフで構成されています。また地域には、エレロス川とクレブラスやカンブロン川等の小川があります。

さらに、主要な居住区域以外に、ヘナベにはたくさんの村があり、中には恐竜の遺跡や自然の魅力あふれる場所がいくつかあります。

この地域の主な資源は高品質のオリーブオイルの生産であり、当地ヘナベは有機オリーブ生産の先駆者であることが特徴です。

この地域で栽培されている主な品種はピクアル種で、地域のオリーブ畑の97%を占めます。木は非常に力強く、枝はやや短めで、枝分かれした枝を作る傾向があります。果実は、2.5~3.5gで、そこから21~25%のオイルが搾取されます。オリーブ特有の病気に対しての耐性が強く、低気温下でも耐性がある品種です。

シエラ・デ・ヘナベオリーブオイル工場とその周辺地域

Q. 有機生産を始められたきっかけは何ですか?始められて何年になりますか?

A. シエラ・デ・ヘナベは30年前から有機生産を始めました。当時はこの分野では先駆者でした。有機生産は製品に付加価値を与えてくれるとともに環境に敬意を払い、消費者に安全で健康な製品を提供することができます。

農薬、合成肥料、添加物などの化学物質を使用しない生産方法である、有機生産を選択しました。この方法を通じて、高品質ですべての栄養特性を備えた自然で健康的な食品を生産することが可能です。

また同時に、環境への悪影響を最小限に抑え、環境保護に対する社会的認識の高まりに賛同し、農業食品システムの持続可能性の向上に貢献する事ができます。

オリーブの収穫とオイルの生産開始は10月頃。機械で木を振動させ落下させた実が地面に直接ついて酸化したり傷んだりするのを防ぐためにネットが引かれていて、ネットのままオイル事業者まで運ばれます。収穫後5-6時間でオイルは製造されます。

Q. 御社のオーガニック製品についてその特徴とともにお聞かせください。

A. ピクアル種のオリーブオイルは、抗酸化物質の含有量が高く、山地の特徴を備えつつ、フルーティーで力強い風味がします。尚、弊社の製品は、オーガニック生産開始当初から、DO Sierra de Segura シエラ・デ・セグラ認証を取得しています。

シエラ・デ・ヘナベのオイルは、高品質で新鮮なオリーブの実の最適な熟成状態から抽出されています。風味、香り、品質に富んだ並外れた品質のオイル。健康の源とその素晴らしい風味は、シエラ・デ・カソルラ・セグラ・イ・ラス・ビリャス自然公園のまさに中心部で生産され、最高級の品質のオイルが生産されるための全ての特性が備わっています。

有機生産されたシエラ・デ・ヘナベのオリーブオイルは、必然的にエキストラバージンオイルで、添加物や防腐剤を使用せず、常に低温抽出を行い、緑がかった黄色をした、フルーティーで新鮮で香り高い味わいを持つオイルで、アンダルシア自治州の食品部門において品質保証の賞を受賞するほどその品質が高く評価されています。

Q. 近々に計画されているプロジェクトはございますか?

A. 有機生産をさらに進化を続けることはもちろんですが、現在、地域密着型の観光スタイル、“Oleo-turismoオレオ・ツーリズム(オリーブオイルの文化を学ぶ観光)”に参入しています。また、食品安全基準であるIFSとBRCの認証を受ける準備もしています。

弊社はハエン県という世界で第一を誇るオリーブオイル生産地域にあり、当地を訪れる方々にオリーブ園とオリーブオイルに関連するあらゆること、例えば、ミュージアム、弊社のようなオリーブオイル搾油所、レストラン、地域に根差した宿泊施設、地域の名物料理の試食やオリーブオイルのテイスティング等、を紹介し、オレオ・ツーリズムを体験していただくことが出来る最高の場所です。

このイニシアチブを通じて、オリーブ園での栽培から収穫、搾油所でのオリーブオイル搾油から瓶詰に至るまで、オイルの生産プロセスを現場でご覧いただくことが出来ます。オレオツーリズムを唯一無二の体験にしていただくためにそれぞれの方のご希望に合わせて複数のオプションを提供させていただいております。

このオレオ・ツーリズムは、どなたでも参加可能で、これまでに国内はもちろん、海外からも日本、中国、イタリア、ドイツ、アメリカなど、たくさんの方をお迎えしました。

シエラ・デ・ヘナベの瓶詰オリーブオイル オロ・デ・ヘナベ。最高級の品質です。

Q.日本市場での販売についてはいかがですか?

A. 実はすでに日本の業者様とは取引がありますが、今後も販路を広げたいと思っています。

他国と比べて要求が厳しいこともありますが、同時に製品の品質を知ると非常に忠実に対応してくださいます。日本とはかれこれ20年弱取引があります。日本向けにはコスメティック向けのオイルを大容量で輸出しているのと、食用ではOro de Genave オロ・デ・ヘナベ(ヘナベの黄金という意味)というブランドの商品を250mlと500mlのボトルで輸出しています。

この記事を書いた人

大谷由美子(おおたにゆみこ)
兵庫県出身。2000年よりスペイン・セビリア在住。スペインの文化に興味を持ち、語学留学。のちに現地の語学学校に就職、17年半に渡り外国人向けスペイン語コースのプロモーションに従事。大好きなスペインと日本の橋渡しをすべく新たな可能性を模索する中、日本でのスペインの食文化のブームや人々の食に対する安全や環境保護への関心の高まりを受け、スペインの食品産業に注目。徹底した品質管理が行われた、安全でクオリティーの高いスペインの有機生産物を認証し、国内をはじめ世界に届けるための一端を担う事ができるCAAEに転職。有機JAS認証の窓口を皮切りに新しい分野での業務に日々研鑽を積んでいる。

CAAE
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