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新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により激動の1年となった2020年。ドイツのオーガニック業界情報誌・BioHandelが2021年2月4日に発表した最新の「売上バロメーター」によると、オーガニック小売店が“コロナの年”に2ケタの成長を遂げ、好調を維持していることがわかりました。

2020年通算で+16.4%の成長率

この売上バロメーターとは、300社以上のBioHandel加盟企業のデータを基に、四半期ごとに発表されるオーガニック小売店の売上成長率のこと。今回は第4四半期の結果に合わせ、2020年全体の概況も報告されました。

まず、感染拡大によるロックダウンの実施や買い占めが問題となった2020年前半(1月~6月)、オーガニック小売店全体の売上は、前年同期比で20%近くの伸びを記録。制限が緩和された第3四半期(7月~9月)にやや減退したものの、再度のロックダウンが始まった第4四半期(10月~12月)で再び強い成長を示し、通算で+16.4%の成長率となりました。

ファームショップが群を抜いて好調

では、ショップ形態によって違いはあるのでしょうか。第4四半期(10月~12月)の結果を詳しく見てみると、オーガニック農場が運営するファームショップが+32.0%、オーガニックスーパーが+16.6%、自然食品店が+14.2%と、どれも2ケタの伸びを記録。中でも、宅配サービスによって大きく売上を伸ばしているファームショップが突出した数字となっています。

オーガニック農場の多くはファームショップに併せて宅配サービスも行っている(筆者撮影)

背景には健康だけでなく、動物や環境への意識も

世界に155拠点をかまえるコンサルティング会社・PwCドイツが昨年12月に実施したオーガニックに関するアンケート調査でも、コロナ禍の中、ドイツの消費者がオーガニック志向をさらに強めていることを示す結果となりました。

©PwCドイツ

( https://www.pwc.de/Bio-Studie )

特徴的な回答結果を抜粋すると、次のようなものが挙げられます。

◇4人に1人(24%)が一般的な食品よりオーガニック食品を多く購入(2017年は14%)
◇購入する品目は、野菜や果物(64%)、肉や肉加工品(48%)、乳製品(48%)が上位
◇オーガニック食品を購入する理由としては、
・自分の健康を害する殺虫剤や抗生物質などの成分を使用していない製品だから(41%)
・オーガニック畜産物は、アニマルウェルフェア(動物福祉)を重視する生産方法がとられているから(39%)
・オーガニック製品は一般的な製品と比較して環境に良いから(38%)

今回の調査を受けて、PwCドイツのサステナブルエキスパートMirjam Kolmar氏は次のようにコメントしています。

「消費者は、自分の食べ物がどのような条件で作られているのか、生産が人や環境にどのような影響を与えるのかについて高い関心を持っています。このニーズに応えていくことが、生産者や小売業者の課題です。」

現在、ドイツは昨年末から続くロックダウンのため、生活の様々な面で制限が課されています。食料品や生活必需品を販売する店舗以外の商店は閉鎖となり、飲食店はテイクアウトや宅配サービスのみ。毎年2月にドイツで開催される世界最大級のオーガニック食品見本市・BIOFACHもオンライン開催が決定しています。

状況が大きく改善しない限りは、人の動きや消費の傾向は現状維持のまま。まだしばらくはオーガニックブームも続きそうです。でもその後は…?緊急事態に勝ち得たこの信頼が、はたして本物なのかどうか、オーガニック業界の真価が問われることとなります。

この記事を書いた人

神木桃子(こうぎももこ)

ドイツ在住オーガニックライター
オーガニック専門店を運営する会社での販売・バイヤー職、地域産品のコンサルタントや販売を行う会社での営業・バイヤー職を経て、2014年秋よりドイツに移住。商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積んだエキスパートならではの視点で、ドイツのオーガニック&サステナブル情報を発信している。3歳になる娘を子育て中。

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