「収穫の秋」と言われるシーズンの到来で、イギリスでは9月といえばOrganic September(オーガニックセプテンバー)というムーブメントが行われる月でもあります。

Organic September とは、イギリスのオーガニック認証機関Soil Association(ソイルアソシエーション)が行っている一番大きなオーガニックムーブメントのひとつで、オーガニック食品と農業に関する認知を促進し、教育する方法として、より多くの人々がオーガニックを試すように奨励する1カ月のキャンペーンです。

一部の小売店でもOrganic Septemberを販促ツールとしてオンラインスーパーマーケットや各小売店で配布しているフリーペーパーなどのコンテンツとして使用されています。このようなキャンペーンを日本でも行うことで、「消費者の視点も徐々に変わっていくのかな」という期待もあり、今回はイギリスのオーガニック啓蒙キャンペーンを紹介します。


(参照元:オンラインスーパーマーケット Ocad (オカド) のEメールニュースレター Organic Septemberと連動し、一部オーガニック食品をディスカウント)

”Organic September” キャンペーン

上記以外に、Organic Septemberの一環であるOrganic Saturday(オーガニック サタデー)を、今年は9月14日にイギリスの各地域で、小売業店がオーガニックの食品を提供したり、オーガニックに関するトークショーやセミナーを開催する日として設けています。

具体的に昨年9月のオーガニック製品の売上は上がっているのか?とSoil Associaltionに伺ったところプレスのClement Teagle 氏は「昨年9月のみの売り上げデータはありませんが、キャンペーンはメディアやソーシャルメディアの注目を集め、オーガニックフードとその意味に関して、人々の注目を集めました。昨年、GO!Organicフェスティバルには何千人もの人々が参加し、オーガニックに対する人々の情熱を示しました。」と評価しています。

(参照元:Waitrose (ウェイトローズ) のオンラインショッピングでは、Organic Septemberを活用して、 オリジナルのDuchy Organic(ダッチーオーガニック)の販売促進および読み物コンテンツへリンクしています)

“FEED YOUR HAPPY”キャンペーン 

Feed Your Happy(フィード ユア ハッピー)は、欧州連合(EU)が80%、Organic Trade Board(オーガニックトレードボード)のメンバーが20%資金提供し、デンマークとイギリスの共同で行われている最大の国際的なオーガニックキャンペーンです。Organic Trade Boardは、2009年に設立されたオーガニックの売上を促進する非営利団体です。

FEED YOUR HAPPYは、オーガニック食品を選択、購入し、食べることで自らを含む、家族や動物、そして地球をハッピーにするという趣旨でキャンペーンをされています。実際、オーガニック食品専門店のディスプレイで大きく取り上げられていたり、店頭の売り場、駅構内、また『Women’s Health』(ウィメンズヘルス)などの食と健康がリンクするような雑誌でも広告を出し、消費者への認知を促しています。

(雑誌『Women’s Health 』October 2019 Feed your Happyの広告:ページ右)

“WAKE UP TO ORGANIC” キャンペーン

年に1日だけ、Feed your Happyの一環として、Wake up to organic (ウェイクアップ トゥー オーガニック)というオーガニック食品を使用した朝食をオーガニック専門店などが何食分か用意し提供するイベントが行われています。このイベントは、買いやすい価格で、簡単にオーガニックの朝食を用意できることを人々に知ってもらい、「朝食からオーガニックを始めてみましょう!」というのがイベントの大きな目的です。

(参照元:Wake up to organic公式サイト)

例えば、オーガニックのクラッカーやトーストにオーガニックの卵やアボカドを乗せたりもの、オーガニックのポリッジやヨーグルトにオーガニックフルーツを乗せたものなど、忙しい朝でも簡単に食べられるものを店頭で提供しています。

Organic Trade BoradのキャンペーンディレクターのAileen Nicol氏は、「5年前よりはじめたイベントですが、当初は70店舗の参加が今年は314店舗にまで大きく伸びている」と述べています。そこには、単純にオーガニックの市場が伸びているため、オーガニック食品を取り扱う中小規模の小売店が増加しているという背景があるからでしょう。2019年は、15000食以上の朝食が無料で配布され、前年に比べ15%上回る330万の人々にInstagramでの投稿が行き渡っていました。

ハッシュタグを使用しTwitterやInstagramと連動しうまく消費者を巻き込むキャンペーンを行っています。また、各小売店を巻き込んだイベント情報は、Facebookを活用してキャンペーン全体を底上げしています。これは、イギリスのみならず他の国に関しても同様です。日本でも、このようにオーガニックを推進する団体が各小売店に活用してもらえるようなイベントや販促物を作り上げ、日本のオーガニック市場をリードできるようになると良いですね。

この記事を書いた人

鈴木 聖佳(すずき さとか)

約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。

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