先日、めったに行かないスーパーマーケットに立ち寄り、ついでに買い物を済ませました。しかし、どれがオーガニック食品なのか、ひと目では判断がしづらかったです。

その理由は「オーガニックの野菜・果物が距離の離れた複数の売り場に分散されていた」ということ。そして「オーガニック食品と、ノンオーガニック食品のパッケージが似ていた」からです。

今後、さまざまなスーパーマーケットがオーガニック食品の扱いを増やしてくると、売り場作りに多くの店舗が悩むと思います。「これは参考になるかもしれない!」「ぜひ役立てて欲しい!」という思いを込めて、オーガニック食品のプライベートブランドの見せ方に関する内容をお届けします。

きちんと差別化できている?

まず悪い例として見て欲しいのが、冒頭のエピソードで触れたアズダ(ASDA)というスーパーマーケットです。アズダは、マヨネーズ・ケチャップなどの調味料・スナック菓子・洗剤など、工業製品が常に安いという印象です。そのため、生活保護を受けているような低所得者層も頻繁に買い物をしに行くようです。

つまり、このスーパーマーケットでは、比較的価格が高いオーガニック食品の需要がとても低いと言えるでしょう。しかし、オーガニックプロダクトがどこにあるのか分かりづらい配置と識別をしづらいパッケージでした。一体どんなものか、見てみましょう。

<アズダで撮影したオーガニックとノンオーガニックのリンゴのパッケージ>

<アズダで撮影したオーガニックとノンオーガニックのキノコのラベル>

リンゴとキノコの写真を見てください。(ちなみに、このように陳列されているのではなく、写真を撮るためにそれぞれを隣に並べました。)

どうでしょうか?一目でどちらがオーガニックのリンゴまたはキノコか区別がつきましたか?

同じ色を使用したパッケージやラベルデザインに、「ORGANIC」という表記と、EU、IOAやソイルアソシエーションのオーガニック認証マークが入っています。

上の写真のように、ひとアイテムずつ横に並べても、ぱっと見て分かりにくいのではないでしょうか?

一般的に、スーパーマーケットで買い物をする際、ほんの数秒しか商品を見ていないはずです。よって、このパッケージやラベルデザインであれば、「オーガニック売り場」と目立ち過ぎるほどに売り場レイアウトが分かれていないと、オーガニックプロダクトを探しづらいのです。

イギリスで最大、オーガニックのプライベートブランド

最近、約1週間分の買い物をオンラインでまとめてオーダーしています。24時間いつでもどこでも空いた時間に買い物ができて、玄関まで持ってきてくれるため、とても便利です!

それでも2日に1度は、過去のコラムで何度か登場しているスーパーマーケット、ウェイトローズ(Waitrose)で、買い物をします。

ウェイトローズが独自にプライベートブランドとして販売しているダッチーオーガニック(Duchy Organic)は、なんと2017年で25周年を迎えました。そして、現在イギリスで最大のオーガニックプライベートブランドへと成長しています。

野菜・果物・肉・魚を含む生鮮食品から、缶詰・ドライフルーツ・ナッツ・パンなど、300を超えるプロダクトが幅広く揃っています。そして、イギリスのオーガニック認証機関、ソイルアソシエーションまたはそれに近いオーガニック認定マークを取得していることがブランドの基準となっているので信頼できるオーガニックプライベートブランドと言えるでしょう。

そのほか、売上の一部をチャリティー基金への寄付、常にサスティナブルなパケージを考慮し、都度改善をすることで地球や環境に優しい取り組みを行っています。

参考になるウェイトローズのパッケージや売り場づくり

自社ブランドでオーガニックプロダクトを25年以上も売り続けているウェイトローズは、2017年、遂に年間売り上げが200百万ポンド(9月26日現在のレート:約2億9700万円)を超えたそうです。そんなウェイトローズのダッチーオーガニックブランドのパッケージや売り場から学べることはなんでしょうか。

~パッケージ・ラベルデザイン~  

<ウェイトローズで撮影したエビのラベル>

それでは、まずパッケージ・ラベルデザインを見てみましょう!

どちらも同じ大きめのエビ(King Prawns)で、写真右がオーガニック、左がノンオーガニックです。プライベートブランドのダッチーオーガニックは、すべてこの黄緑のパッケージ・ラベルデザインで統一されています。

ノンオーガニック食品のパッケージデザインと色合いが大きく異なるので、売り場が分かれていない場合や少し距離があるところからでも、ひと目でオーガニックということの識別ができます。

~売り場レイアウト・陳列方法~ 

<ウェイトローズで撮影したオーガニック野菜売場の一部>

<ウェイトローズで撮影した牛肉売り場の一部>

売り場レイアウトは、それぞれ独自の棚でオーガニックだけの果物・野菜が陳列されています。肉や魚の売り場に関しては、オーガニックとノンオーガニックが混在した棚です。

肉であれば、牛・豚・鶏・羊と肉の種類ごとに陳列されており、牛肉であれば牛肉コーナーに、肩ロース・サーロイン・リブ・ヒレなどの部位ごとにオーガニックとノンオーガニックの肉が混在して並べられています。

この売り場レイアウトには、背景があると考えています。「野菜・果物は種類が比較的揃っていて、売上もある程度安定しているため仕入量もある。そのためオーガニックだけの棚が作りやすい」ということ。

そして、日本に比べオーガニック先進国であるイギリスでも、「オーガニックの肉や魚だけを集めた売り場を作るほど、オーガニックの肉・魚を選ぶ消費者はまだそこまで多くないということ」です。

~プライスカード~   

<ウェイトローズで撮影したプライスカード>

棚につけられているプライスカードにも注目です!

オーガニックプロダクトのプライスカードは、表示方法が異なります。
上の写真のように、ノンオーガニックのプロダクトは黒インクを使用した表示ですが、オーガニックプロダクトは、青と緑を使用して商品名・値段を表示しています。

ナショナルブランドのオーガニックプロダクトもたくさん流通していますので、パッケージをひと目見ただけでは、オーガニックだと分からないこともあるでしょう。

また、スーパーマーケットでは、ほとんどの買い物客が気にしている値段ですから、プライスカードを見ればオーガニックプロダクトであることを識別できるのは、素晴らしい手法ですね。

スイスのスーパーマーケット、コープ(Coop)での見せ方

せっかくなので、この夏に休暇で訪れたスイスの大型チェーンスーパーマーケット、コープ(Coop)での売り方も紹介します。スイスのオーガニック協会によると、スイス全体のオーガニック総売上の半分のシェアを占めるのが、コープだそうです。大小2店舗のコープで買い物をしましたが、その理由が分かるような気がします。

行き慣れていないのに関わらず、店舗に入った瞬間にオーガニックプロダクトが目につくという分かりやすい見せ方でした。

<コープで撮影したオーガニックの野菜売り場>

こちらは野菜売り場の写真です。オーガニックとノンオーガニックの野菜・果物が分けられて並んでいます。上の写真のように、それぞれのラックにアクリル版に挟まれたPOPが取り付けられていて、コープのプライベートブランド「ナチュラプラン(naturaplan)」を知らなくても、スイスの「ビオ認証マーク」が並んでいるため、誰もがオーガニックだということをすぐに認識できます。

<コープで撮影したシリアル売り場>

<コープで撮影したパスタ売り場>

シリアルとパスタ売り場の写真を貼付しています。どうでしょうか?

ナチュラプランのオーガニックプロダクトに焦点を当てて撮影していますが、緑を背景にビオと書かれたパッケージが目を引きませんか?

緑と白のみを使用した非常にシンプルで分かりやすいパッケージであるからこそ、オーガニックであることを消費者に認識してもらえると感じます。

日本ではイオンのプライベートブランド、トップバリューグリーンアイがオーガニックラインを扱っていますね。恐らく、これから各スーパーマーケットの自社ブランドに、オーガニックラインが続々と登場して来るのではないでしょうか。

その際、識別しやすいパッケージやラベルデザインの考案、わかりやすい売り場づくりをし、「消費者が手に取りやすいオーガニック」を目指し、それぞれが日本のオーガニック市場を盛り上げていくと良いなと思います。

あとがき

ここ数年、ヨーロッパでは、どの国でもオーガニックの売上がまだまだ伸び続けています。それを思うと、日本市場の伸びしろは大きいです。つまり、オーガニックプロダクトの生産・売場作りに力を入れれば、自ずと店舗の売上も伸びるはずです。

オーガニックプロダクトは売ろうとしなければならないのです。
「無意識に買ったものが、実はオーガニックだった!」これではダメなのです。
消費者に、きちんとオーガニックを選ぶこと、生活に取り入れることのベネフィットを知ってもらい、自らの意思で買ってもらわないと意味がないのです。

そうすることで、一度オーガニックを生活に取り入れた消費者は、次も必ずオーガニックを選ぶからです。はじめは、オーガニックの乳製品を買うことからのスタートかもしれません。でも必ず、その家庭には乳製品以外のオーガニックプロダクトも徐々に加わってくるはずです。しばらくすると、その家庭にはオーガニックのものしか揃わないようになるのです。

私自身も、家庭にある食品は9割近くが常にオーガニックです。もちろん、旅先やレストランでは、オーガニックでないものも口にしますし、そこまで神経質になったり、ストイックにするつもりはありません。けれども、オーガニックについて知れば知るほど、不思議とノンオーガニックの食材を買うということができなくなりました。

この記事を書いた人

鈴木 聖佳(すずき さとか)

約8年間、東京にて化粧品業界商社兼メーカーに勤務、Eコマース、カタログ通信販売のマーケティング&法人営業に従事。2012年よりロンドンへ移住し、3年弱、金融業界で勤務。そして、日本と「繋げる」・日本に「伝える」を仕事にし、現在は、ネゴシエーター・フリーランスライターとして活動中。特にオーガニック・ナチュラルプロダクトの食品・化粧品に関するマーケットリサーチ、インサイドセールス、ライティングをプロジェクトベースで行っています。

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