欧米のオーガニックスーパーに行くと、ピーナッツバターをはじめシード&ナッツバターなど、植物性ペーストの豊富なラインナップにいつも驚かされる。シード(種)やナッツは栄養価が高く良質な油脂を含むことから、いわゆるスーパーフードのひとつであり、これらを圧搾して抽出した健康的な油は「スーパーオイル」「美容系食べるオイル」としても注目されている。このスーパーオイルから派生したといえる商品が、動物性脂肪ゼロのナッツバターだ。
オーガニックのナッツバターといえば、ピーナッツバター以外でおなじみなのがゴマペーストやクルミのペースト。そして最近人気で、取扱いが増えてきたのがアーモンドバターやカシューバターなど。日本では、まだまだ品揃えは少ない。
ロンドンのオーガニックスーパーでは、「バオバブ」「タイガーナッツ」などのスーパーフードを取り入れた個性派シード&ナッツバターが販売されていた。そしてRAWのパンプキンシード(かぼちゃの種)バター。もちろん、どれも英国ソイルアソシエーション認証だ。
「タイガーナッツ・ココナッツ&カシューバター」は、ローストカシューナッツ55%にタイガーナッツ24%、サンフラワーオイル(ヒマワリの種油)とココナッツオイル、シーソルト。「バオバブ&ピーナッツバター」は、ローストピーナッツ70%にバオバブフルーツ8%、サンフラワーオイルとアガベシロップ、シーソルトが配合されている。
一瞬バジルペーストかと見間違える緑色のペースト、パンプキンシードバター(RAW PUMPKIN SEED BUTTER)。オメガ3、オメガ6脂肪酸に加え、亜鉛やマグネシウムなどのミネラル、ビタミンK、Eなどが豊富なスーパーフードだ。原材料を見ると、96.5%がパンプキンシードで、3%ほどパンプキンシードオイル、0.5%ほどのシーソルト。配分も記載されていて、シンプルな材料だから手作りもできそうだなと思った。
シードやナッツなどをペースト状にしたものは分離しやすいのが難点。ゴマペースト(練りごま)なども、開封したときに上に油脂分が分離していて、こぼしてしまったり混ぜるのに苦労した経験がある方は多いはずだ。これらを解消しスムースな塗り心地、食べやすさを実現するために、一般のペーストやスプレッドなどには乳化剤を加えたりすることが多い。また、植物性のスプレッドだと思って原料を見ると乳成分なども使われたりする。オーガニックのナッツ&シードはシンプルな原料で作られるだけに、やはり時間がたてば分離してしまう。品質が安定しにくいものはクレームにもつながりやすく、取扱いがしにくいという小売流通の事情もあるだけに、輸入品や国内での製品開発もなかなか難しいところだろうか。
無ければ手作りしてしまおう!ということで、スーパーオイルとスーパーフードを組み合わせた自家製ナッツバター、名付けて「スーパーペースト」!?これから流行るかも?
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。