欧米では既に取り扱いはもちろんのこと、製品の認証マーク、プライスカードでの表示、コーナー展開なども当たり前の光景となっている「グルテンフリー(GLUTEN FREE)」。欧米のオーガニック展示会などでのPR、露出も高く、また、ダイエットを謳ったやや過剰と思える状況も見られていた。しかしながら、もはやグルテンフリーは、対アレルギー対応のひとつ、健康関連のカテゴリーのひとつとして位置づけられ、認知されているようだ。

それを裏付けるかのように、既にロンドンではグルテンフリーベーカリー&カフェが登場。従来のパン屋さんと見た目もサービスも変わらないベーカリーで、美味しさも変わらないグルテンフリーパンが購入できる。スムージーやコールドプレスジュース、ローフードのカフェやレストランではもともとグルテンフリーであることも多いが、通常「小麦」が主役であるパンに小麦を使わず、幅広いラインナップとメニューのあるベーカリーというのは画期的だ。しかも、路面店として立派に成立している。それ程、グリテンフリーパンや、焼き菓子のレシピ開発、小売流通可能な製品開発が進んでいるということだ。

こちらは、ロンドンのオーガニックスーパーで売られていたグルテンフリーのパンを使ったラスク。ソイルアソシエーションのオーガニック認証マーク、VEGAN認証マークもしっかり表示されている。通常、GLUTEN FREE(グルテンフリー)とはグルテンを含む小麦などを使用していない、ということであって、オーガニックとは限らない。また、卵や乳製品は使うこともあるので、VEGAN(ヴィーガン)やベジタリアン向けであるとも限らないことは知っておいてほしい。そんな中、ヴィーガンやベジタリアン人口の多いイギリスでは、このような「ORGANIC」「GLUTEN FREE」「VEGAN」の3つの要素すべてが揃った製品も多い。

そしてパリでは、グルテンフリー専門店(セレクトショップ)が存在していた。

常温保存の加工食品のほか、冷蔵品なども販売している。路面店としてはまだまだ、品揃えは少ないという印象もある。陳列されている在庫量もそう多くはないように見受けられたが、WEB SHOPの運営の他、レストランやホテルへの商品供給などもしているようだ。オーガニック野菜、焼き立てのパンなども扱い、スイーツやドリンクなどイートインができるようになれば、さらに日常的に利用したいお店になりそう。これからの展開が楽しみだ。

パリの有名な高級百貨店の地下食料品売り場でも、グルテンフリーコーナーが展開されている。

パリ市内のあるビオスーパーでは、グルテンフリーのビスケットがお菓子売り場で販売されているのはもちろんのこと、別途展開しているグルテンフリーコーナーにも並べられていた。PB製品でもグルテンフリー製品を作っているなど、消費者ニーズの高さがうかがわれる。

日本ではまだグルテンフリー製品自体が少なく、コーナー展開をしているお店も少ない。PB加工品のグルテンフリー商品開発は、まだ少し先の話になりそう。さらにはグルテンフリー専門店など、当面は難しいかもしれない。日本人に対してはもちろん、急増する訪日外国人需要もあり、これからきっと日本で拡大するであろうグルテンフリー市場。まずは、日本を代表する農産物「米」の消費拡大の取り組みのひとつとして、有機米を使ったグルテンフリー製品の開発からぜひ、お願いしたい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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