オメガ3脂肪酸やココナッツオイルなど、健康志向の高まりを背景に「身体に良い油」の市場がにぎわっている。海外の市場においては効率よく摂取できるカプセルタイプはもちろん、美味しく食べられるグミタイプ、フレーバータイプのもの、お菓子や加工食品に取り入れたものなど、ここ数年で様々な商品開発が進んできた。「オメガ3」「トランス脂肪酸フリー」などをキーワードとした健康系オイルの商品バリエーションは、ますます広がってきているようだ。
そんな健康系オイル市場の最新トレンド、キーワードは「クリーミー&テイスティー」。フィッシュオイルなど気になる独特の香りをカバーしながら、手軽に美味しく、食品としていつもの食事に取り入れやすいタイプの、一歩先を行くクリーミータイプのものが続々と登場している。
クリーミータイプのオイルの利点は、スムージーなど粘度のある飲料やヨーグルト、アイスクリームなど、チョコレートやフルーツシロップのような感覚で違和感なくかけて食べられること。パンケーキやトーストなどにつけてもOK。通常のオイルのように、油がお皿などに流れてしまわず、食べ物と一緒に無駄なく摂取できる。また、レモンやオレンジなどのかんきつ系、マンゴーなどトロピカル味、チョコレート味など、フレーバーも増えているので、サプリメントであることを感じさせずに、美味しく手軽に、日常の食卓に取り入れることができる。
健康食品やサプリメントは、より日常の食品に近いものへと進化している。わざわざ錠剤のものを摂取するとか、味やにおいを我慢して飲むことは、いくら健康に良いとはいえ継続がしにくい。大人ならともかく、子供ならなおさらのことだろう。バターやマーガリン、お砂糖たっぷりのジャムやペーストの代わりに、良質なオイルを毎日の食卓にとりいれよう!と、オイルメーカーは各社「ブーストタイプ」「スムージータイプ」などといったキャッチ―で親しみのあるネーミングをつけ、オイルのある食卓やライフスタイルを提案。あらためてオメガ3の販売促進を試みている。
オメガ3系の不飽和脂肪酸とはまた異なり、飽和脂肪酸のココナッツオイルは、冷えると固まる性質を利用したローフードのスイーツ作りにお馴染みの油だ。あえてクリーミーに加工しなくても冷やすと固まる性質があるので、ペーストのようにも使える。よって、フレーバータイプのココナッツオイルは、オールオーガニックの原材料で商品化が可能だろう。フレーバーのココナッツオイルなら、ペースト的な使い方にはもちろん、暖かい飲み物に溶かし入れるなど、気軽にココナッツオイルの栄養やメリットが得られそうだ。
人気の過熱と共に市場でライバルも増える中、他社との差別化を図るべく、また、一過性のブームに終わらせないためにと、メーカー各社が様々な工夫を凝らしている海外市場。日本ではまだ、原料の産地の違いや、コールドプレスかどうか、オーガニック認証のものかそうでないかの違いくらいだ。今後国内での商品開発は進んでいくだろうか?
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。