年を追うごとに熱帯化している日本の気候。今年は5月の時点で30℃を超える真夏日を記録するなど、異例の暑さに見舞われています。本格化する夏商戦に向け、暑さ対策は必須カテゴリー。メーカー各社がしのぎを削っていることと思います。

ドイツでも昨年の夏は例年に比べて暑く、清涼飲料水の売上は前年と比べ6%の伸びを記録しました。そんな中、特に体調管理に注意が必要なシニア向けにかかりつけ医協会の代表が推奨していたのが、水、お茶と並んで「ショーレ (Schorle)」という飲み物でした。

ショーレとはドイツで古くから親しまれている飲み物で、ワインやフルーツジュースを炭酸入りのミネラルウォーターで割ったものです。特にフルーツジュースを使ったフルーツショーレは子どもから大人まで人気の飲み物。多くのカフェやレストランで、フルーツジュースそのままのパターンと、炭酸水で割ってショーレにするパターンが選べるようになっています。

撮影したカフェではリンゴ、オレンジ、マンゴー、パッションフルーツ、ルバーブのオーガニックフルーツジュースがあり、ストレートジュースの場合は200mlグラスで2.9ユーロ。ショーレの場合は300mlグラスで2.9ユーロと割安でした。(写真はルバーブショーレ)

なぜオーガニックプレスでこのショーレを紹介しようかと思ったのか、その大きな理由がオーガニックで製品化しやすいこと、そしてナチュラル志向の消費者ニーズに沿うことです。

ショーレの作り方はとても簡単。スタンダードなレシピではフルーツジュースを三分の一程度入れ、あとは炭酸水を加えるだけ。

原材料がシンプルなので、流通している製品の多くがオーガニック認証を取得しています。

一般的な清涼飲料水は人工甘味料や香料など添加物が使われているものが多いですが、ショーレの場合、成分は全て天然由来。近年人気となっているフレーバーウォーターと比べ、適度な糖分やビタミン、ミネラルも含まれるため、汗を大量にかく夏場やスポーツ後のナチュラルなアイソトニック飲料として需要があります。これなら熱中症予防の水分補給としてもぴったりです。

写真の右側に並ぶ製品はドイツのミネラルウォーターメーカー「Adelholzener」のもの。バイエルンアルプスの良質な水をベースにしているのが特徴です。定番のりんごのショーレ以外にスグリ、サクランボなど日本では馴染みのないものも。

左側の製品は2009年にベルリンで創業した新興飲料メーカー「Proviant」のもの。濃縮還元ではなく、オーガニックフルーツをそのまま絞った果汁を使用しているのが特徴です。写真はサクランボ&ザクロのショーレ。他にもパッションフルーツ&オレンジと言った、まるでカクテルのようなブレンドもあります。

気になる味ですが、どれも甘さが少ないので飲み心地がすっきりしており、微炭酸が口当たりを軽くしてくれます。喉が渇いているとき、果汁100%のフルーツジュースだと口の中でもたつく感じがあると思いますが、これだとごくごく飲むことができます。

このように夏に向けてオーガニックなアイソトニック飲料として提案できるショーレ。元々フルーツジュースの取り扱いがあればラインナップを手軽に増やせる、炭酸水で割ることで単価を抑えることができるなどのメリットもあります。夏に向けた新感覚の飲み物として、まずは試してみてください!

この記事を書いた人

神木桃子(こうぎももこ)

ドイツ在住オーガニックライター
オーガニック専門店を運営する会社での販売・バイヤー職、地域産品のコンサルタントや販売を行う会社での営業・バイヤー職を経て、2014年秋よりドイツに移住。商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積んだエキスパートならではの視点で、ドイツのオーガニック&サステナブル情報を発信している。3歳になる娘を子育て中。

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