東急ストアが新規ブランド「Organicの約束」の展開を開始

最近、有機野菜や果物を取り扱うスーパーも増えてきた印象があります。また、イオンの「トップバリュ グリーンアイオーガニック」や、ライフの「BIO-RAL」、成城石井など、スーパーのプライベートブランドで、積極的に有機JAS認証のオーガニック製品をラインナップする傾向がみられます。

そんな中、東急ストアが、新規ブランド「Organicの約束」の展開を開始しました。早速お店に行ってみたところ、野菜売り場の一角に「Organicの約束」コーナーができており*、同ブランドの有機野菜や果物コーナーが展開されていました。通常のものとは別のデザインでブランド用に統一されたプライスカードや、売り場を目立たせるPOPなどでPR。有機野菜の生産者からの手紙を読むことができるということで、早速購入したお野菜で試してみました。

*店舗によって異なることがあります

商品に貼付されたQRコードをスマートフォンで読み取ると、該当商品の生産者のメッセージが閲覧できるページに直接遷移します。生産者からの手紙を読むだけでなく、消費者からの返信を送ることもでき、一方通行ではなく、双方向でのコミュニケーションが可能です。

▽Organicの約束
https://organic-yakusoku.jp/

また、生産者プロフィール(生産者名や栽培地区など)や栽培情報(肥料の情報、防除情報など)も確認可能。産地などはパッケージなどですぐ確認できますが、例えばどんな肥料を使っているのか?緑肥、家畜ふん由来肥料など使っているのか使かっていないのか。病害虫防除はどのような対策をとっているか。天然物質を使っているのかいないのか、虫や微生物など天敵を使った防除なのかどうか?など、私たちが食べているこの野菜はどこからきて、どんなふうに育てられたのか?知ることができます。

※2022年3月現在、一部「確認中」となっているものもあります。

少し前までは、有機食品は一部の自然食品店、野菜の宅配サービス等でしか買えませんでした。この頃は、店舗あるいは店員さんが、生産者の想いや生産方法などを伝達する役割も担っていました。店舗主導による産地ツアーや店舗でのイベントを通しての交流も定期的に行われていました。

2010年頃からは都市型のマルシェ(ファーマーズマーケット)が盛んになり、農家さんとの対面での交流も身近なものとなってきました。ちょうどその頃から産直ECサイトも増え、コメントやメールなどでのやりとりから、オンライン上で生産者の方と直接つながれる時代に。幅広い世代へのスマートフォンの普及もあって、ますます社会全体のデジタル化が進んできています。SNS等で農家さんが直接情報発信もできるようにはなりましたが、その一方で、ITが苦手な生産者にとってはそれが新たな作業負担になっているとも言えます。

そのような中で起こった、新型コロナウイルス感染症の流行。人と人との接触を減らす新しい生活様式が続く中、生産者と消費者をつなぐ新しいコミュニケーションツールが求められています。

有機農業の消費者理解を深め消費の拡大につなげるために、小売・流通業ができる手段の1つとして、東急ストア「Organicの約束」の今後の取り組み、期待したいと思います。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

関連記事