ヨーロッパの中でも最大級を誇るヴィーガン・フェスティバル「VegfestUK London 2016」が、2016年10月22日(土)~23日(日)の2日間にわたり、ロンドンのOlympia Westにて開催された。世界中からヴィーガン・ベジタリアン業界から専門家が集まり、ヴィーガンカファレンス、ヴィーガンヘルスサミットが開催されたり、専門家によるトークやクッキングデモ、ミュージシャンによるステージでのパフォーマンスなどもあって、大人から子供まで、一般の方も楽しめる催しもたくさん企画されていた。
日本でベジフェス、ヴィーガンフェスというと、公園などの屋外で行われるイメージがあるが、「VegfestUK」は屋内開催。天候に左右されることなく開催できるのはうれしい。
4,000sqmもの広々としたスペースには、ヴィーガンフードをはじめ、ボディケア、化粧品、衣料品や雑貨、書籍など、およそ250程のブースが並び、フェスというよりいわゆる見本市、展示会のよう。最新のヴィーガンフードなどもずらりと一堂に揃い、熱気あふれる会場。製品は各ブースで一般販売もしており、気に入ったものは購入することもできる。一般の来場者が多いようだが、中にはビジネスの商談をしている姿も見受けられた。
コスメのほうでは、BUAV(英国動物実験廃止連盟)のメンバーで動物実験は行っていない、英国を代表するオーガニック&アロマブランド、ニールズヤードレメディーズも出展。VEGAN、動物愛護の団体や書籍、VEGANマガジンを発行しているメディアなどのブースもある。
実は、「VegfestUK」は無料ではなく入場料がかかるのだが、それでも大人から子供まで来場者でいっぱいだ。ヴィーガンフードの試食も各ブースでたくさん用意されているので、お得感さえ感じられるほど。ひとつひとつのブースをゆっくりまわっていると、あっという間に時間がたち、一日中楽しめる。また、屋台やイートインできるスペースもあるので、会場内で購入してヴィーガンの食事をとることができる。
こちらはもちろん、肉や卵など、動物性素材は一切使用していない、ヴィーガンバーガー(VEGAN BURGER)。見た目も、ボリュームも、普通のバーガーとあまり変わらないので、ヴィーガンやベジタリアンでない方も一緒に楽しめる。
食材の彩りもきれいで、組み合わせなども参考になるオーガニックサラダ。他にピザや寿司(海苔巻き・ラップ)なども人気で行列ができていた。
スイーツ系は、VEGAN(ヴィーガン)であることはもちろんのこと、ORGANIC(オーガニック)でRAW(ロー)のスイーツ、チョコレートなどのブースが大人気。
一般的に卵白やゼラチンといった動物性素材から作られるマシュマロも、VEGANだ。
こちらは「キャビアもどき」。海藻などの成分を使って魚卵に見立て、ワサビなどフレーバーをつけたユニークな製品だ。
よく誤解されるのだが、必ずしもベジタリアンフードやヴィーガン(VEGAN)製品=オーガニック、ではない。VEGANの場合、特に加工食品の場合は複数の素材で作られることから、95%以上オーガニックを使うことが難しい場合もある。例えば、台湾「素食(ベジタリアン)」のレストランなどでは、魚介類などいわゆる「もどき」製品が多くある。本物のように見せるために工夫されているが、その多くはナチュラルでない。
「VegfestUK」の出展者は、すべてはオーガニックというわけではないものの、オーガニックやナチュラルが多くを占めていた。Veganの方は、Natural、Organic、Healthy志向の方も多く、これらのキーワードは親和性の高いカテゴリーだ。アジアに比べ、欧米ではその傾向がより高いと感じる。
ちなみに、来場者にはヒッピー系スタイルやナチュラル&エシカル系のいかにも!という風貌の方が多いのかと、失礼ながら想像していたのだが、いたって普通の方がほとんどだった。しかも、皮製品なども身に着けない人も多いだろうという中で、うっかり皮のバッグを持っていたり皮の靴を履いていたりしたのだが、白い目で見られることもなく・・・。
イギリス滞在中、あるVEGANカフェで朝食をとったのだが、ここでは卵やチーズ、コーヒー用のミルク(普通の牛乳)もチョイスできるようになっていて驚いた。一般の飲食店で「ベジタリアンメニューも用意しています」というのはよくあるが、その逆だ。基本はVEGAN。なのに何故、あえて動物性食品も扱うのか?と尋ねてみたら、お客様を限定したくないからという答えが返ってきた。ベジタリアンの方が、そうでない方とも一緒に、健康的な食事がとれるよう選択肢をもち、食のスタイルが異なる方へも柔軟に対応できるようにしているとのこと。
ここ、イギリスでは「VEGAN」という食のスタイルは、特殊でもなく、気負う必要もなく、神経質になることもない、ごく日常の暮らしに溶け込んでいるものだった。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。