写真:Original Unverpackt

オンラインで量り売り商材を注文し、家まで届けてもらう。量り売り専門店によるゼロウェイストな宅配サービスが、ドイツで徐々に広がりつつあります。

2014年にベルリンで誕生した、ドイツ初の量り売り専門店「Original Unverpackt」もそのひとつです。ドイツのゼロウェイストカルチャーのけん引役であるこの店が、なぜ宅配サービスを始めたのか。地域タブロイド紙・Berliner KURIERの記事(2020年4月30日付)によると、きっかけはコロナウイルスの感染拡大でした。

若者に人気のクロイツベルク地区にあるOriginal Unverpacktの店舗。同じベルリン市内にもうひとつ店舗がある(写真:Original Unverpackt)

創業者のMilena Glimbovski氏は、3月初めにイタリアでのロックダウンの様子をテレビで視聴。この脅威はドイツにも忍び寄っていると、強い危機感を覚えます。そして、そこからわずか2週間で、新たにオンラインでの宅配サービスを構築したのです。

ゼロウェイスト宅配とは?

この宅配サービスの大きな特徴は「ゼロウェイスト」であることです。オンラインショッピングには包装や梱包材の問題がつきまとうもの。この店は、どのようにしてゼロウェイスト宅配を実現させているのでしょうか。実際に注文の流れにそって説明していきたいと思います。

宅配サービスのスタート画面には、自転車やパスタ、パン、そしてガラス容器の画像が並んでいるが…

引用:Original Unverpackt
https://lieferservice.original-unverpackt.de/

STEP1.商品注文

●量り売り商品を中心に充実したラインナップ
食品は、穀物やドライフルーツから、ミューズリー、菓子、コーヒーやお茶、スパイスやハーブ、パンまですべてオーガニックで、幅広い品ぞろえです。雑貨も、固形石けんなどのケア製品から、プラスチックフリーのブラシなどの掃除グッズまで、ゼロウェイストグッズがそろっています。ただし、実店舗では量り売りをしている、オイルやビネガーなどの液体調味料、洗剤(粉末、液体問わず)はありません。

●量り売り商品はデポジット容器入り
量り売り商品は、デポジットガラス容器(1ユーロ)か紙袋(0.1ユーロ)、もしくは布袋(2.59ユーロ)入りとなっています。ガラス容器は返却され、購入する紙袋や布袋は繰り返し使えるため、ごみが発生しない仕組みです。

たとえばペンネの場合、ガラス容器2サイズ、紙袋3サイズ、布袋2サイズから選べます。量は指定されているので、「量り売り」ではあるものの「好きな量を買える」わけではありません。

量り売り商品の注文画面。左上に表示されている数字は、デポジットガラス容器(約190g入/デポジット料金含む)を注文した場合の金額

引用:Original Unverpackt
https://lieferservice.original-unverpackt.de/

STEP2.受取方法選択

●宅配か引取か選択可能
宅配は有料(5.95ユーロ)ですが、店舗での引き取りは無料です。オンラインで注文すれば、充填する作業は店側が代行。それを引き取るだけならかなり手軽です。

●通い箱に入れて自転車で配達
ごみが出ないよう、注文商品は通い箱に入れて配達されます。配達には、環境にやさしい荷台付きの自転車か電気自動車を使用。そのため、配達地域は店舗周辺であるベルリン市内の5地区のみとなっています。

配達時のイメージ(写真:Original Unverpacktインスタグラムアカウントより)

 

STEP3.デポジット容器返却

●店舗に返却するか、次回の宅配時に回収してもらう

回収したガラス容器は店側で洗浄し、再び使用されます。

このようにして、使い捨ての包装はゼロ、梱包などのごみもゼロの宅配を実現させています。お客は家に居ながらにして、ゼロウェイストで買い物をすることができるというわけです。

窮地の店にゼロウェイスト宅配は救いとなるか?

前述の記事によると、顧客の多くは一度にかなりの量を購入するため、注文頻度は少なめ。また、人によっては宅配よりも店舗で受け取りたがるそうです。それでもGlimbovski氏は、宅配サービスを続け、配達地域を広げていく意向を語っています。

今のところ配達日時は毎週水曜日の12時~16時のみ。配達範囲はかなり限定的で、しかも人力であることを鑑みれば、残る利益はわずかなものだと推察されます。それでも続ける理由は、顧客のゼロウェイストライフスタイルを支えているという強い使命感でしょうか。

現在、ドイツ国内の量り売り専門店の数はおよそ200。ドイツ量り売り専門店協会(Unverpackt e.V.)によると、さらに200店がオープンを計画中であり、まだまだその勢いは止まりそうにありません。

一方で、この状況下で苦境に立たされている店があるのも事実。クラウドファンディングで支援を募る店、やむなく閉店となってしまった店もあります。

現在、Original Unverpacktのような宅配サービスを行っている店は、情報サイトによると20店舗。宅配はせず、充填からパッキングまでの代行サービスのみを行う店は5店舗。この数字を見る限り、トレンドであるとはまだ言い難い段階です。

しかし、外出を控える状況が長く続くようであれば、オンラインを利用したサービスは店側にとって活路となりえます。特にドイツは、どの街にも量り売り専門店があると言われるほどなので、各店の主な顧客は周辺地域の住民。大きな流通網を持たずしても、地域密着型の宅配サービスで売り上げを維持できる可能性は十分あります。

筆者自身、子どもを連れて量り売り専門店には行きづらく、足が遠のいているひとり。市内にある店が宅配サービスを始めるのを心待ちにしています。

この記事を書いた人

神木桃子(こうぎももこ)

ドイツ在住オーガニックライター
オーガニック専門店を運営する会社での販売・バイヤー職、地域産品のコンサルタントや販売を行う会社での営業・バイヤー職を経て、2014年秋よりドイツに移住。商品企画から流通、販売まで幅広い経験を積んだエキスパートならではの視点で、ドイツのオーガニック&サステナブル情報を発信している。3歳になる娘を子育て中。

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