1936年に設立されて以来85年以上も愛されてきた、ドイツのオーガニックジュースブランド「BEUTELSBACHER」。ドイツのオーガニックスーパーではたいていのお店で販売されているので、目にしたことがある人は多いかもしれない。オーガニックの100%フルーツジュースというイメージが強かったが、老舗ながら攻めた商品開発を進めている。
写真手前のドリンク、Quattro Shot は、野菜や果物のジュースに生姜、ターメリック、コショウ、チリなどスパイスを配合。そのまま健康飲料的に摂取するだけでなく、料理などに応用もできるというもの。
最近ではビオのコーラなどの炭酸飲料、スプリッツアー、乳酸発酵させた野菜ジュース、KOMBUCHA(コンブチャ)など、いつの間にかベーシックなジュースだけでなくトレンドをおさえた商品を開発していた。
そして、スパークリングのオーガニックエナジードリンク「365 DAIRY ENERGY」が発売された。
ENERGY(エナジー)、MATE(マテ)、MELON(メロン)、WILD BERRY(ワイルドベリー)の4種。配合されているカフェインは、有機認証されたグリーンコーヒーとガラナで、製品自体も有機認証された、オーガニックエナジードリンクだ。遺伝子組み換え原料不使用、100%VEGAN。
従来のBEUTELSBACHERらしい、どこか牧歌的で優しく温かみのあるラベルとはまた違ったイメージで、性別や年齢を問わないシンプルなデザインが印象的!
「365 DAIRY ENERGY」に使用しているのはガラスの瓶で、Mehrweg(リターナブル)仕様。同社で販売されている他の飲料も共通の瓶を使用しており、回収後、洗浄して他の飲料としても再利用できる。最大30回まで再利用が可能だという。
ドイツのオーガニックスーパーに行くと、飲料のコーナーはほとんど瓶で埋め尽くされていたのに驚いた。ガラスは品質の保持、保存性も高くリサイクルが可能な素材。さらにリユースも可能だから、繰り返し使用できるリターナブル瓶は製造時のエネルギー削減や資源の節約にもつながるので、より環境にも優しい容器と言える。
日本ではジュースやお茶、水など、飲料の容器はペットボトルや缶、紙パックが主流。重量があり割れやすいガラス瓶は物流のコストもかかり敬遠されがちだ。昨今の環境問題など認識はあっても、現状を変えてガラス瓶に回帰するというのは、メーカーとしてはそう簡単なことではない。さらにリターナブルとなれば1社でできることではないので、自治体や業界、事業間での連携や仕組みづくりも必要になる。
とはいえ今でも、給食の牛乳や、ホテルや飲食業向けの清涼飲料、ビールなどのリターナル瓶はあるわけで。消費者が使いやすく持ち運びしやすい形状にしたり、栓抜き不要のスクリューキャップにするなど、まずメーカー共通の規格の瓶を検討するところから少しずつでも進むことを願う。
Mehrweg(リターナブル)について関連記事
神木桃子の「深掘りドイツのオーガニック事情」
▽ドイツのデポジットシステムから学ぶ、リユース重視の循環型社会のつくりかた
https://organic-press.com/column/kohgi_column_vol34/
▽デポジットで社会を変える、ドイツの事例にはヒントが満載
https://organic-press.com/column/kohgi_column_vol35/
【参照】
▽BEUTELSBACHER Blog
Kein ‘to go’ sondern ‘bring back’- Glas-Mehrweg seit über 85 Jahren!
https://www.beutelsbacher.de/glas-mehrweg-kein-to-go-sondern-bring-back/
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。