はじめに

「パルセイユブランド及びアンナトゥモールコスメ」をはじめ、数々のスキンケアやメイクアップなど化粧品の自社ブランド製造及び販売、OEM製造も手掛ける、パルセイユ株式会社。「石油由来の化学合成物質を使用しない、安心して使える無添加化粧品づくり」に愚直にこだわり続けています。九州・福岡芦屋産の資源を活用し「農商工連携」の取り組みにより誕生した、新スキンケアブランド「SHIZOOJU|シズージュ」について、パルセイユ株式会社・代表取締役の金井誠一社長にお話を伺いました。

パルセイユ株式会社 代表取締役 金井誠一氏

コスメに赤紫蘇を使うという新発想

弊社の本社工場があるこの福岡県芦屋町という地域は「赤紫蘇」の産地として有名でした。地元の方々にとっては、昔から身近にある植物で梅干や赤紫蘇ジュースにして活用していました。そんな中、「このすばらしい地域の資源である赤紫蘇を使って、化粧品ができないだろうか?」すべてはここからはじまりました。

農商工連携を視野に入れながら、芦屋町地域づくり課で相談したところ、地元芦屋町の大規模農家で、こだわりの品種改良を重ねた赤紫蘇を栽培されている、「あたか農園」を紹介されます。あたか農園から赤紫蘇をいただいて、まずは試作品を作ってみると、赤紫蘇の成分や効能のすばらしさに気づくことになります。この赤紫蘇の持つ抗酸化作用を、エイジングケア、化粧品に活かせないかと考えたのです。

>もともと、紫蘇はハーブですものね。

そうなんです。

赤紫蘇は、梅干しを腐らせないための日本で古くから使われていますが、香り成分でもあり優れた抗菌作用を持つ「ぺリラアルデヒド」が含まれています。調べてみると、他にも、ロズマリン酸などのポリフェノール類をはじめとする、様々な効能を持つ成分が含まれているんですよね。

実は、九州の大学の研究機関と共同で、赤紫蘇の成分について、さらに詳しく調査を進めているんですよ!

>赤紫蘇の栽培方法は?

農家の安髙さんには、シズージュのために、農薬を使わない栽培方法で赤紫蘇の生産をしていただいています。赤紫蘇は害虫に食べられてしまうリスクが高く、無農薬では栽培が難しいと言われています。赤紫蘇の葉に特有の虫が発生した時には、一匹ずつ丁寧に手作業で取り除いたりと細やかな作業を繰り返し、収穫まで新鮮な立派な葉を付けた状態で残っていたときには感動しました。

農薬を使わない栽培方法で赤紫蘇を生産する、農家の安髙さん

このような経緯で農商工連携の申請に向けて、生産者である農家さんと製造メーカー、芦屋町役場や商工会など官民が連携し、地元の特産品を生かした化粧品原料づくりのプロジェクトがスタートしたのですが、これをきっかけに、地域のみなさんにも、赤紫蘇が地元の特産品であるということに、目を向けられるようになりました。

農産物を食品としてではなく、化粧品の原料とするメリット

食品は生のままだと賞味期限が短いですよね。作付面積にも、収穫期間にも限界があり、また、天候などによって収穫量にもばらつきが出やすい。

一方、化粧品の原料であれば、加工してからの期限は長くなります。多く収穫出来てもエキスにしてストックできるとか、保管スペースもあまりとらなくてよいなどの利点があります。農家さんとしては収入の安定にもつながります。

農産物を、農協に卸すだけとか食品で終わるだけでなく、ハイエンドの化粧品にもなりうるのだというところにも、魅力があると思いませんか?

>日本の農産物を、国産のオーガニックコスメに。地産地消、夢がありますね。

最初は自分たちで「ハーベスト」というブランドで発売しましたが、評判が良かったので、もっとセンスよく、おしゃれな、高級オーガニックコスメとして全国に発信したいと思いました。

そこで、地元の食材を使ったオーガニックカフェをプロデュースしてもらった、アートディレクターの石田さんに協力してもらい、使用する成分やコンセプトを徹底的に見直し、さらにパワーアップさせた「SHIZOOJU|シズージュ」が誕生したのです。

シズージュに使われている原材料は、赤紫蘇をはじめ、コメヌカのお米、オタネニンジン、ローズマリー、カミツレ、スギナ葉エキス、橙果皮エキス、椿油、これらは地元芦屋産または九州産のものなんです。ここまで、地元産であるのは珍しいかもしれませんね。

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【対談】伝統食材から世界初のオーガニックコスメへ~後編~
九州・福岡芦屋の特産品・赤紫蘇を高級コスメにブランディングする

▽「SHIZOOJU シズージュ」ブランドサイト
http://shizooju.com/

▽公式オンラインショップ
https://wacosme.com/

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