
犬や猫などのペットも人間と同様に高齢化が進むことで、さまざまな健康リスクが高まる傾向があります。日本における犬の主な死因としては腫瘍性疾患が多く、猫も慢性腎不全(腎臓病)に加え、腫瘍性の疾患で亡くなるケースが多く報告されています。
一般的な予防策としては、早期発見・予防のための定期健診や食事管理が推奨されており、もし疾患が見つかった場合には早期治療が重要とされています。その中でも近年注目されているのが、オーガニック農産物に豊富に含まれる植物性天然成分「サルベストロール」を活用した日々の健康維持や体調管理です。
本記事では、大切な家族である犬や猫などのペットの健康を守るために、この天然成分がどのような役割を持っているのか、その働きや実際の事例についてご紹介します。
オーガニック農産物に多く含まれる植物性天然成分:サルベストロール
サルベストロールは、主にオーガニック農産物に豊富に含まれる天然の植物性成分です。サルベストロールはポリフェノールのような植物性栄養素の一種で、植物の表面に真菌(カビ)が付着すると、その刺激による植物の防御反応でサルベストロールが生成され、植物を守る働きをします。

植物の種類によって生成されやすさには差があるものの、私たちが目にするほぼすべての野菜、果実、ハーブに存在すると考えられています。
しかし、農薬や防カビ剤が使用されるとカビの刺激がなくなり、サルベストロールの含有量が著しく低下することがわかっています。オーガニックや化学合成農薬を使用せずに栽培された野菜や果実ほどサルベストロールが豊富に含まれ、サルベストロールの含有量は農薬栽培の3~30倍にもなるといわれています。オーガニック農法で育ち、厳しい環境で多くの菌に晒された植物は、本来の防御機能が活性化されることでサルベストロールが増加するのです。
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医療現場で活用されるサルベストロール

サルベストロールは、2002年にイギリスの研究チームによって発見された天然成分で、欧米諸国をはじめ世界中で医療分野への導入が進められています。
サルベストロールは、特定の細胞に存在する酵素「CYP1B1」と反応する特性を持ち、医療現場でもその選択的な作用が注目されています。サルベストロールが体内に取り込まれると、CYP1B1酵素と反応し、細胞の自然な死を誘導する物質へと変化します。興味深い点は、この酵素が正常な細胞にはほとんど存在しないため、サルベストロールは健康な細胞に影響を与えず、特定の細胞だけに作用するという性質です。このような選択的な働きから、サルベストロールは医療の分野でも期待される天然成分として活用・研究が進んでいます。
2021年にインドで実施された臨床試験では、その効果が科学的に実証されました。この試験では、サルベストロールを活用した補助療法により、重篤な疾患を抱える患者の生存率や生活の質(QOL)が向上したことが報告されています。の試験では、進行した疾患を持つ患者に対して顕著な改善例がみられ、サルベストロールは非常に期待度の高い成分として評価されています。これらの結果から、サルベストロールは医療現場での利用が進むとともに、自然界の「健康維持・サポートシステム」としても今後さらに研究が進められています。
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生物進化の過程で生み出された体を守るメカニズム

犬や猫をはじめとする人間以外の哺乳類も、CYP1B1やそれに類似した酵素を発現できることが分かっています。サルベストロールとCYP1B1の相互作用による健康維持のメカニズムは、人間だけでなく、さまざまな哺乳類にも共通して存在すると考えられています。つまり哺乳類は進化の過程で、植物が持つ生体防御機能のひとつであるサルベストロールを、自身の健康維持や体内バランスのために活用する仕組みを持つようになったのではないかと考えられます。
自然界の動物が深刻な病気で命を落とすという話はあまり耳にしませんが、近年、犬や猫などのペットにおいて健康上のトラブルが増えている背景には、サルベストロールの摂取量の減少も一因として考えられるかもしれません。
愛するペットを守る天然成分:サルベストロールの新たな可能性

2000年頃に発見されたサルベストロールは、主に欧米諸国で人々の健康維持を目的とした食事やサプリメントとして広まり、近年では日本の医療機関でも活用されるケースが増えています。また、動物に対してもサルベストロールを取り入れる取り組みが、世界的に、そして日本でも徐々に広がりつつあります。
ニュージーランドでは、外鼻腫瘍のペットにサルベストロールを活用した事例もあります。血管が豊富な外鼻の腫瘍に対し、動物用サルベストロール(現地商品名Lupostrol)を使用。6月30日にサルベストロールを食事に取り入れ追加し、7月13日には退縮が見られ、8月2日には良好な様子も確認されました。
「サルベストロール」という、オーガニック農産物の持つ栄養素が、医療の現場でも注目されています。サルベストロールは、私たち人間だけでなく犬や猫などのペットの健康維持にも役立つ、まさに植物がはぐくむナチュラルケア成分なのです。
サルベストロールについて健康面でのサポートを目的とする場合、サルベストロールを活用した栄養療法やサプリメントの取り扱いがある医療機関に相談することで、生活習慣や食事を含めた包括的なアドバイスやサポートを受けることができるでしょう。また、日々の食事でサルベストロールを意識的に摂取することは、健康維持や体調管理、予防的な観点からも役立つとされています。サルベストロールは体内で生成できない成分のため、オーガニック野菜や果物、サプリメントなどを通じて積極的に取り入れることが推奨されています。
ご自身の体調や目的に合わせて、専門家や医療機関に相談しながら、無理のない形でサルベストロールを日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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【出典】
Inoue, Mai, and Katsuaki Sugiura. 2022. “動物病院カルテデータをもとにした日本の犬と猫の寿命と死亡原因分析.” 日獣会誌 75, no. 6 (2022): e128-e133.
サルベストロール研究会
https://salvestrol-labo.com/