「Natural Products Expo West 2023」に出展していた“PLANT BASED FOOD”の中でも、特にジャックフルーツ(jack fruit)を使ったものが増えたという印象がある。ジャックフルーツは、クワ科パンノキ属の常緑高木に実る果物で、日本語でパラミツ(波羅蜜)と呼ばれる。見た目はまるでドリアンのようだが別物で、あの独特な匂いはしない。大きいものだと高さ50~70cm以上、重さ40~50kgほどにもなるそう。東南アジアなど、主に熱帯地方で栽培されており、熟したものはフルーツとして、未熟な青いものは食材として、煮込み料理などに使われている。
熟していないジャックフルーツは、味や香りなどにクセがないためアレンジがしやすく、近年ヴィーガン食材として注目されている。缶詰などで販売されているジャックフルーツは、見た目はまるでタケノコ!?のようだが、フォークなどでつぶすとホロホロと繊維状に裂ける。
アメリカの南部で親しまれているBBQ料理“プルドポーク”は、豚肉がホロホロと柔らかくなるまで煮込み、細かくほぐして食べるもの。ジャックフルーツのホロホロとほどける繊維が、あのプルドポークの裂いた豚肉のような食感のようになるので、プラントベースのプルドポークとして商品化されているものが多い。
Kitchen & Love では、温めるだけで食べられる、レトルトのプラントベースプルドポーク、シチューなどを展開。オーガニックのジャックフルーツを使用し、調味料もオーガニック。USDAの認証マークもついている。
Sweet BBQ Pulled Jackfruit
INGREDIENTS: Organic smoked jackfruit shreds, organic tomato paste, organic onion paste, organic garlic paste, organic coconut sugar, organic smoked chili powder, organic sunflower oil, organic salt, organic cumin powder, organic coconut vinegar, organic arrow root starch.
原材料: 有機スモークジャックフルーツシュレッド、有機トマトペースト、有機オニオンペースト、有機ガーリックペースト、有機ココナッツシュガー、有機スモークチリパウダー、有機ヒマワリ油、塩、有機クミンパウダー、有機ココナッツビネガー、有機クズウコンスターチ
こちらは本物のジャックフルーツ!
jack & annie’s は、ジャックフルーツを主な食材として使用するプラントベースフード、パティやナゲット、ミートボールやソーセージを商品化。冷凍タイプで手軽に調理が可能だ。特にナゲットなどは豆由来のものが多いので、メイン食材がジャックフルーツであるものは珍しい。また、プルドポークのようにほぐしたまま味付けしたものではなく、固形状に成型しているものはいままであまりなかったかも。
こちらのナゲットの原材料は、
INGREDIENTS: JACKFRUIT, WATER, WHEAT FLOUR, SOY FLOUR, CANOLA AND SOYBEAN OIL, LESS THAN 2% OF: METHYLCELLULOSE (PLANT FIBER), NATURAL FLAVOR, SUGAR, SALT, SPICES, GARLIC POWDER, ONION POWDER, OLEORESIN (PAPRIKA, TURMERIC), BAKING SODA, YEAST EXTRACT.
原材料:ジャックフルーツ、水、小麦粉、大豆粉、キャノーラ油、大豆油、2% 未満: メチルセルロース (食物繊維)、天然香料、砂糖、塩、香辛料、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オレオレジン (パプリカ、ターメリック) 、ベーキングソーダ、酵母エキス
ソーセージパティの原材料は、
INGREDIENTS: JACKFRUIT, WATER, SOY FLOUR, CANOLA OIL, COCONUT OIL, SPICES, NATURAL FLAVOR, WHITE ONION, APPLE CIDER VINEGAR, LESS THAN 2% OF: SALT, BROWN SUGAR, METHYLCELLULOSE (PLANT FIBER), GARLIC POWDER, FRUIT AND VEGETABLE JUICE (COLOR).
原材料:ジャックフルーツ、水、大豆粉、キャノーラ油、ココナッツ油、香辛料、天然香料、白タマネギ、アップルサイダービネガー、2% 未満: 塩、ブラウンシュガー、メチルセルロース (食物繊維)、ガーリックパウダー、果物と野菜のジュース(色)
どちらもオーガニック認証ではないが、わりとシンプルな原料で作られている。
代替肉への関心が高まり、フードテック分野の研究開発競争やスタートアップ企業による事業化が拡大している。が、ここにきて、加工度の低い代替品の開発がむしろ増えている印象だ。研究室で作られる代替肉より、ホンモノの植物でできたプラントベースフードが求められている。そして、なるべく添加物が含まれないクリーンラベルのもの。そんな消費者のニーズを満たす素材のひとつとして、今、ジャックフルーツが選ばれている。
日本では沖縄でジャックフルーツが栽培されているようだが、ほとんど流通しておらずまだまだ希少な果物だ。今のところ、レトルトなど調理済み商品の選択肢はまだ少なく、入手しやすいのは缶詰タイプのものくらいだが、輸入を中心に扱うお店もこれから増えていきそう。ジャックフルーツを使ったプラントベース食品の開発は、国内ではもう少し先になるかもしれないが、国産ジャックフルーツがお店に並ぶ日は、もしかしたらそう遠くないかも?
欧米のブームを受けて、2023年は日本でも「ジャックフルーツ」が注目されそうな予感!
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。