サンフランシスコのオーガニックスーパーで、とりわけ目立つように陳列されていたこの「Halva」というお菓子。パッケージには、ORGANIC, VEGAN, GLUTEN-FREE, NON-GMO の文字が。

Organic Double Chocolate Halva(オーガニックダブルチョコレートハルヴァ)
原材料:有機ごま、有機タピオカシロップ、有機サトウキビ糖、有機チョコレート(有機カカオ豆、有機サトウキビ糖、有機ココアバター、有機バニラビーンズ)、有機ココアパウダー、有機パーム果実油*、有機キラヤエキス、有機バニラエキス、クエン酸
*RSPO認証

バーやチョコレートなどの売り場に一緒に並んでいたので、これはもしかしたら、チョコレートのトレンドなのかも?と思って原材料表示を見ると、メインは胡麻のペースト(タヒニ)のよう。半透明の容器に入っているので、パンに塗るスプレッドのようにも見える。

中を出してみると、スプレッドではなく固形状。フレークのようなサクサク感と、綿状の細かなヌガーや飴のようなシャリシャリとした食感もあり、生チョコレートのような舌触りのタヒニ(胡麻ペースト)も感じられる。とにかくクセになる不思議な食感!とても美味しかったので、全フレーバー買ってくればよかった!と後悔したほど。

ちなみに、そのまま食べても良いが、細かく砕いてアイスクリームなどトッピングにしたり、練り込んでもまた美味しい。クッキー生地に混ぜたり、温めて柔らかくしてスプレッドにしたり、アレンジも色々と楽しめる。

Halva って何?

パッケージに書かれているHalva(ハルヴァ)は、はじめはお菓子のブランド名なのかなと思っていたが、どうやら違うらしい。調べてみたところ、中東を代表する伝統的な郷土菓子なのだそうだ。色々な種類があるが、特に白っぽいタヒニをベースにグリーンのピスタチオが入っているものがよく目に付く。これらは中東の旅番組などでなんとなく目にして印象に残っている人もいるかもしれない。

日本に輸入流通されている商品を調べてみたら、トルコ、チュニジアニジアのものが見つかったが、ごく一部のインターナショナル系のスーパーで取り扱いがあるくらいで、日本ではおそらくほとんど知られていない。

一般的なHALVA(日本で入手したもの)

帰国後、日本で流通しているハルヴァを入手して原材料を見てみると、オーガニックではなかったり添加物などがプラスされるが、概ねだいたい同じような感じだった。食べ比べてみると、味の方はアメリカで買ったオーガニックハルヴァとはちょっと別物のようで、美味しさの評価は分かれそう。食感は少し柔らかめでざらつきがある。

少し空気を含んだようなシュワシュワ感もあって、どうやらこれは原材料の「ソープワート」がキー成分らしい。本場のレシピにも使われている。ソープワートはサボンソウ(Saponaria officinalis)とも呼ばれ、サポニンという成分を含み揉むと泡が出る。この性質により軽い口当たりになっているようだ。オーガニックハルヴァの方では「有機キラヤエキス」とあるが、Quillaja saponariaも、同じくサポニンを含み石けんのように泡立つ性質があるそうだ。

【トルコ産】
胡麻ペースト、砂糖、ココア、ソープワートエキス / 乳化剤、pH調整剤、香料(バニリン)

【チュニジア産】
ごまペースト、砂糖、グルコース、ココアパウダー / 乳化剤、ソープワート根、クエン酸、バニリン、天然香料(ベルガモット)

ハルヴァは、穀物、胡麻、野菜、または果物に油脂と砂糖を加えて作られる菓子。東はバングラデシュから西はモロッコまでの広い地域に見られ、冠婚葬祭にまつわる様々な行事で重要な役割を果たすことが多い。

引用元: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フランス菓子の「ヌガー」にちょっと見た目が似ている。そこで調べてみると、もともとはハルヴァ由来だったようだ。

ヌガーは紀元前に考案されたアラブの菓子ハルヴァに由来するもので、最初はクルミと蜂蜜によって作られていた。これが中国にわたって牛軋糖(ニュウガータン)と呼ばれる菓子となり、さらにフランスに持ち帰られることで、南仏の名産品であり長期保存に耐えるアーモンドを使用する菓子に変わった。17世紀にはメレンゲの使用が一般的になっている。

引用元: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

新たなトレンドの予感

古くからある中東の伝統菓子に光を当て、新しい解釈を加えて新たな価値を生み出しているのはさすが!米国のオーガニック。中東からの移民も多く、多文化社会のアメリカではきっと「こんなの待ってました!」という人も多いのでは?背景にあるストーリー性もあるうえに、オーガニックで健康的な原材料を用い、グルテンフリーやヴィーガンなどのトレンドもしっかり押さえた、イマドキの若い人たちにも受け入れられるようなコンセプト。今までHalvaを知らなかった人には、新たなお菓子のジャンルとして認知されそうだ。

どことなく懐かしい、古くて新しいお菓子「Halva(ハルヴァ)」。オーガニック&ナチュラル菓子部門における新たなブームの予感!

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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