学校内に菜園を作り、そこで収穫した作物を使ってキッチンで料理をつくり、食卓を囲む。これらを単なる課外授業としてではなく、学校教育のカリキュラムに取り入れた「エディブル・スクールヤード・プロジェクト」。
「このキッチンクラスで、初めて食卓を囲む子もいる。それがアメリカの現実なんです。テーブルを囲んで家族で会話をしながら食事をする、そんな文化ではないのが悲しい。」と、教師は言う。
食卓でどんな会話をしたらいいのか?何を話したらいいのか?がわからない子供もいるという。そんな子供たちと、各自の食べ物の記憶について語り合う場が設けられる。
また、すべての生徒が自然と会話ができるためのツールとして考えられた「クエスチョンカード」がある。生徒に様々な質問を投げかけ、活発な会話を大切に。生徒同士や生徒と教師の間でコミュニケーションをはかるために、このカードが一役かっているそうだ。
キッチンクラスはただ調理実習をする場所ではない。彼らが自分たちの手によって育てた収穫物を使って作ることで、自分たちの食べるものがどこから来るのか?を体験として学べる場でもある。
また、調理後はテーブルのセッティングも生徒たちによって行われる。テーブルクロス、花も必ずテーブルに飾り、盛り付けなども含めて創造性と美意識、食べてもらう人のためにもてなしの心をこめて提供することを大切にする。
調理後のクズなどはガーデンのコンポストへといった流れからも、生態系についてを学び、自然と再生サイクルやエコロジーに対する考えも身につけることができるのだ。
メニューは、旬の作物からだけでなく、各教科で何を学んでいるかによってもきめられるという。例えば、アメリカの歴史や文化を学ぶクラスではとうもろこしやポテトを使ったもの、インドの文化であればカレーといった具合にだ。食材の背景にある文化や歴史により料理の仕方も異なるため、蒸す、炒める、揚げる、焼く、などのテクニックが学べるような考慮される。
味付けはシンプルに。使う道具もフードプロセッサー、電子レンジなどの、電気を使うようないわゆる「ハイテク」なものは使わないそうだ。
そんな話を聞きながら、ふと、日本の調理実習を思い浮かべた。
ご飯を炊くのには、鍋を使った炊き方を教えてるだろうか?まさかメモリに合わせるだけの水加減、スイッチオンの炊飯器、、、ではないよね?と。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。