トルティーヤはメキシコで主食として食べられており、アメリカでも非常にポピュラーな食べ物。もともとは各家庭で粉を練って手づくりされていたものだが、今ではどこのスーパーでも必ずと言っていいほど、成型済みのトルティーヤ生地が販売されている。トルティーヤに代表されるタコス、ブリトーなど、いわゆる「ラップサンド」のラップ生地は、小麦粉を使ったものやトウモロコシの粉を使ったものが一般的だ。食感や粘度を高くするため、保存管理のためなど、増粘剤をはじめ様々な添加物を使っているものも多く、さらに主原料が遺伝子組み換えをしているものである確率は高い。
Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)に代表される、オーガニックスーパーでは、ナチュラル&オーガニックのラップの品揃えが豊富で、オーガニック認証のもの、原料がNON-GMO(非遺伝子組み換え)であることはもちろん、全粒粉のもの、スペルト麦を使っているもの、ホウレンソウなどの野菜を練りこんであるもの、グルテンフリーのもの・・・など、味の好みや体質にあわせて様々な選択肢から選ぶことができる。
そんなナチュラル&オーガニック・ラップ(Wraps)のトレンドが、RAW(ローフード)、VEGAN(ヴィーガン)、GLUTEN FREE(グルテンフリー)、そしてPALEO FRIENDLY(パレオフレンドリー)だ。一般的なトルティーヤとの違いは、穀類を使っていないことで炭水化物が少なく(ローカーボ)、食物繊維が豊富なところ。穀類や豆類は使用せず、原材料のメインは野菜と果物。そしてフラックスシードや胡麻などのシード類に、ココナッツの果肉部分など。さらに、フレーバーによってハーブやスパイス類が加わる。中には「スピルリナ」「チアシード」などといった、いわゆるスーパーフード(SUPER FOOD)を取り入れている商品もある。しかも、オーガニックの認証を取得。
これらのラップ(RAW WRAP)は、「ローブレッド(RAW BREAD)」「ロークラッカー(RAW CRACKER)」と同じようなものだが、食材を巻いてラップ状にするには、適した薄さと柔らかさが必要になる。なによりも、ナッツやシード類を一晩浸水させ、生の野菜やハーブと共にブレンダーにかけたものを、薄く延ばしてディハイドレーターで乾燥させる・・・この一連の作業にはかなりの時間がかかるので、手づくりするのも大変だ。それが商品化され、常温で数か月保存もでき、誰もが手軽に購入できるようになったのは画期的。
フレーバーのラインナップも豊富で、中に巻く具材レシピの工夫次第でも、バリエーションは無限大。ラップの色も原料によりそれぞれ異なるので、魅せ方次第で食卓も華やかに!ローフーディストやベジタリアンではなくても、一般消費者はもちろん、飲食店やデリのメニュー、パーティー料理にも取り入れやすい。消費者ニーズや嗜好の多様化に対応した、あるいはそれらを先取りした製品だ。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。