テレビの情報番組などでもたびたび紹介されているのでご存知の方も多いと思うが、欧州では日本の蒟蒻(こんにゃく)が、健康的な食材、ダイエット食品として人気となっている。
例えば、今回訪問したスペイン。オーガニックスーパーでは日本食やアジアの食品が販売されているコーナー(常温の棚)に、他の麺類とともに「SHIRATAKI DE KONJAC」と称し、日本でいう「結び白滝」が販売されていた。オーガニック認証で4.56ユーロ(日本円でおよそ600円)ほど。同メーカーからは米粒状に加工された「GOHAN (KONJAC EN GRANOS)」とネーミングされたものも販売されている。
また、ドイツのオーガニックスーパーでは、健康食品関連も販売されていたコーナー(常温の棚)に、コンニャクを原料に使用した製品が置かれていた。低カロリーであることを前面に打ち出したパッケージで、BIO、グルテンフリー、ヴィーガンであるとともに、なによりもダイエットフードとして訴求し販売されていた。
こちらは、蒟蒻にファイバーを練りこんだタイプで、2.95ユーロ。(日本円で400円弱)アジア風ヌードルに適した細麺、スパゲッティー、タリアテッレ(平打ちパスタ)、そして米粒状のライスの4種があった。
写真左が細麺のヌードル、右がスパゲッティ。
日本の白糸こんにゃくと比べると、色も透明感も全く違い、本物の麺の色に近い。
ヌードル系はパッタイ風に、スパゲッティはトマト&バジルのパスタとして実際に調理をして試食もしてみた。パッタイのほうはフライパンに油をひいて炒めてるので、麺に味も浸み込んで、これがこんにゃくだとは思えない味と食感だ。蒟蒻ほどツルツルしておらず、でも程よい噛み応えも残している。固めに茹でたそうめん風に近いかもしれない。スパゲッティ麺は、本物のパスタよりやや細めということもあって、ラーメン風にしても良いかも?どちらも、見た目も本物により近く、味も食感も思った以上のクオリティだ。蒟蒻の臭みはなかった。本物の白滝を麺に見立てて調理するより断然美味しく、食材とちゃんと合わせて調理すれば、充分に一品メニューとして成立しそうだ。
日本でも以前からこんにゃく麺やライスはあったが、昨今の糖質制限ダイエットブームで、再注目されている。こんにゃくブームの逆輸入もあるかも?とはいえ、日本では蒟蒻も白滝も、有機のものも、今や普通のスーパーで手ごろな価格で販売されている。海外のように、あえて商品開発をせずとも、従来品を使ったレシピで終わるかもしれないが・・・。
蒟蒻、豆腐、緑茶、抹茶に味噌、醤油、日本酒・・・次は何がくるだろう?近年の健康志向にともない世界中で日本食に注目が集まっている今、日本人にはないユニークな発想、違う角度からの見方から、思わぬ食材に日の目が当たるかも。また、その食材をさらに加工して消費者ニーズに合った形で提供する、海外企業のアイディアと開発力、技術にも脱帽。しかも、ちゃんと「有機認証」として製品を送り出しているのだ。欧米を中心に、世界的に有機食品の需要が拡大し続けているのは、時代の潮流。これからは日本の伝統的な食材、かつ有機であるものの輸出に商機がありそうだ。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。