BIOFACH 2024に出展していた有機認証団体のブースでは、環境に優しい容器にパックされた農産物をたくさん見かけた。特に目立って印象的だったのは、りんごや梨をパックするための紙容器だ。完全に箱に入れてしまうと中身の状態が全く見えないし、蓋なしの箱だと売場のスペースがとられたり、レジで手間もかかる。このタイプの紙容器なら一部分でも中身が見えるし、何よりもプラスチックフリーで環境への負荷も少ない。

よく見ると、認証団体や生産者によっても容器の形状が微妙に違っていたりする。デザインもそれぞれ個性があって面白い!

上の写真は、提携農場のりんごを販売しているAugustinという会社のもの。バイオダイナミック農法で栽培され、パッケージにもデメターの認証マークが印刷されている。

Demeter(デメター)のブースにて。

こちらのタイプは、よく見ると上部はシールによって封されている。同じ品種のりんごであっても大きさやカタチは一律ではないし、サイズや入れ方によって果物とフタの間の空き具合も変わる。そんな場合でもシールの貼り方で調整できるので、色々なサイズの果物で使えそうだ。

箱の色も印刷で変えられるので、同じりんごでも品種によって違う色の容器に入れるなどしても良い。また、長方形の箱には洋梨のような長いカタチのものを入れるのにぴったりだし、リンゴの6個パックにすることもできる。小さめの箱にはキウイフルーツが入っているが、例えばレモンやミカン、柿などにも使えそうだ。

Naturland(ナトゥアラント)のブースにて。

こちらはとってもシンプル。印刷はされておらず無地の容器を使用していて、ロゴのシールが貼られている。露出している部分が比較的多いので、中身の鮮度などがわかりやすい。

Melinda Bioというイタリアの加工食品も手掛ける会社のブースにて。

こちらはよく見ると、切り抜きの部分がハート形になっていて可愛い!QRコードも印刷されている。紙容器のふた部分は自由な形にカットができるし、カラフルな印刷も可能だから、容器のデザイン次第で印象をがらっと変えることができる。例えば、リンゴの品種によって異なる色やデザインにすれば、売り場でお客様が判別しやすくなるかも。クリスマスシーズンなどイベントやギフト用のデザインにすることで、売り場に特別な季節感を演出し、お客様に喜びや楽しさを感じさせることもできる。

日本のスーパーだと、透明のOPPボードン袋でパックされていることが多いかも。あるいは、りんごの下部にポリエチレン製の網目状ネット、通称“フルーツキャップ”をつけて、さらにプラのトレイに入れ上部に透明のフィルムをかぶせているものなども。過剰すぎる包装は少しずつ減ってきている印象はあるものの、日本の青果コーナーの脱プラは進んでおらず、それはオーガニックスーパーでも同じこと。

パッケージデザインはマーケティングやブランディングに重要な要素。果物の容器をプラスチックから紙容器へとただ変えるだけでなく、工夫次第で生産者のストーリーを伝えるためのツールにもなりえる。

脱プラのため、エコのため、というだけではもったいない!是非日本でもマネしたい。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

関連記事