BIOFACH 2024の会場では、有機農産物に適した包装用資材を扱うメーカーも出展していた。

ドイツをはじめとする海外のオーガニックスーパーの多くでは、そもそも包装せずにそのまま量り売りされるケースも多く、不必要なプラスチック包装をできる限り排除する動きは強まっている。それでも、品質保持のためや、あまり量り売りに向かないもの、まとめ買いを促進したい場合など、用途に対応するため様々なタイプの包装が必要で、包材そのもののニーズが無くなることはない。日本ではコストに見合わないなどの理由もあって、未だにプラ包装が主流となっているが、ヨーロッパの環境先進国では開発もかなり進んでおり、環境に優しい包装用資材の選択肢は増え多様化している。

農業の未利用残渣「稲わら」をアップサイクル

こちらの、野菜などに使われるトレイは、農業残渣である「稲わら」をアップサイクルして作られているもの。お米が収穫された後、残った茎や葉部分である稲わらは、家畜の飼料として利用されることもあるが、廃棄されてしまうことも多い。この未利用の稲わらに着目し、従来の紙パッケージに代わる環境に優しい素材としてアップサイクルされたものだ。

完全にプラスチックフリーで生分解性。産業用だけでなく家庭用コンポストでも堆肥化可能。野菜や果物など、様々な用途に合わせて成型ができ、トレイの上部には、同じく堆肥化可能な蓋ラミネートでラップすることができる。

堆肥化可能なカラフル青果ネット

タマネギやニンニクなどの野菜、柑橘類など果物を入れるときに利用される青果ネット。日本で使われているものは、一般的にポリエチレン(PE)、つまりプラスチック素材だが、セルロース繊維を原料とした環境に優しい生分解性ネットが流通している。こちらは業務用堆肥化が可能。

日本では青果に使われるネットは赤かオレンジ、白くらい?しかない印象だが、こちらはカラーバリエーションも豊富で、なんと12色から選べるそう。

野菜や果物の色彩に合わせてこんなにも選択肢があり、しかも環境に優しい素材というのはうらやましい限り!購入後は捨てずにエコバッグに忍ばせて、量り売りのお店で活用するなどもありかも。将来的に家庭用コンポスト可能になれば、キッチンの水切りネットのように生ごみを入れ、そのまま堆肥化できて便利かも?

従来の石油由来のプラスチックに代わり、より持続可能な代替品として普及が進んでいるのがバイオプラスチックだ。実は植物由来原料から作られた「バイオマスプラスチック」のすべてが生分解性であるわけではない。また、「生分解性プラスチック」であっても化石素材由来が含まれるものもあるし、微生物の数や温度などにより分解する時間は変化するため、適切な条件下でないと分解に時間がかかることがある。そのため、基本的には分別回収し、堆肥化する産業用施設にて分解させる必要がある。

これからは原料となるバイオマスの割合や原料産地まで、求められる品質基準も厳しくなり、“Compostable Packaging”が当たり前の時代に。植物由来100%かつ生分解性プラスチックで“堆肥化可能”であること、さらには“家庭用コンポストで堆肥化可能なレベル”のものが求められるようになりそう。

【今後有機農産物の包装資材に求められること】
◎再利用可能
◎リサイクル可能
◎100%生分解可能
◎100%植物由来原料

◎堆肥化可能 (産業用コンポスト⇒家庭用コンポスト)
◎国内調達可能な原料
◎アップサイクル原料

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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