Natural Products Expo West 2023でも引き続き市場拡大が予測される“PLANT BASED FOOD”の中で、代替肉、卵、乳、魚などに加え、食材の中でもニッチな分野である「代替魚卵」のプラントベース化にも注目だ。
高級食材であるキャビア(Caviar)は、本来はチョウザメの卵を塩漬けしたもの。乱獲により絶滅寸前のチョウザメは、1975年ワシントン条約により捕獲制限など厳しく管理されており、国際取引に対しても厳しい制限がかかっている。そのため、現在流通しているほとんどが、“養殖キャビア”や、チョウザメ以外の魚卵(ランプフィッシュなど)に黒く色をつけるなどして作られた、いわゆる“イミテーションキャビア”だ。中には、アルギン酸やコラーゲンなどを使った“人工キャビア”もある。
今回の「Natural Products Expo West 2023」では、魚由来でなく植物由来の“プラントベースキャビア”が製品化されていた。Avafina Organicsが紹介していた「CHIAVIAR™」という名のヴィーガンキャビア。メイン原料はあのスーパーフード「チアシード」だ。クラッカーにプラントベースのクリームチーズとこのヴィーガンキャビアをのせ、カナッペ風にしたものを試食させていただいた。見た目もゴージャス!キャビアに比べれば塩味が少なめだったり、若干の食味が違うかもしれないが、磯の風味もしてプチプチも感じられて美味しい。
このネーミング、チアシード(Chia Seed)とキャビア(Caviar)をあわせたんだろうなぁ、、と推測。語呂合わせやシャレ好きの日本人としては、あーわかる、という感じ?
Avafina Organicsの「CHIAVIAR™」は、チアシードをベースにして、黒い色はチャコール(活性ココナッツ炭)を使い、磯の風味に海藻類をつかっている。しかも、オーガニックの海藻!レモンやブルーベリーを合わせるというのは、なかなか日本では思いつかない組み合わせかもしれないが、この原材料を見ると家庭でもマネして作れそうなくらい、身近でシンプルな原料を使用している。しかもオーガニックのもので。
Ingredients: Organic chia (water, chia seeds), organic lemon juice, organic extra virgin olive oil, sea salt, organic seaweed blend (organic dulse flakes, organic kombu flakes, organic sea lettuce flakes, organic wakame flakes), activated coconut charcoal, organic blueberry powder.
May contain crustaceans and fish.
VEGAN、GLUTEN FREE、NON-GMO、ORGANIC
日本でも、以前からマクロビオティックをはじめとするベジタリアンの方などによる、雑穀を魚卵(たらこなど)に見立てたレシピはあるが、このようなものが加工食品として流通しているものは見たことがない。日本では畑のキャビアとも言われる「とんぶり」や、グリーンキャビアとも呼ばれる「海ぶどう」など、身近な植物由来の食材で代替できるものがあるので、プラントベースの魚卵は商品化までいかなくとも、工夫次第でもっとキャビア風にして楽しめそうだ。
よくあるイミテーションキャビアには、イカ墨で黒い色と磯の香りをつけているものがある。そのキャビアの風味を、香料や化学調味料、合成着色料や動物性原料ではなくて、「海藻」を使って再現しているというのがポイント!香りだけでなく旨味もある。適度な粘りもあるし、栄養価も高い。
一昔前は“天然キャビア”以外のものに対して、ニセモノ、とか模造品的なネガティブイメージしかなかったが、オーガニック原料や海藻で作られたプラントベースキャビアなら、ネガティブな印象が無い。チアシードのようなスーパーフードの組み合わせなら、さらに栄養価が高くなる。海の生態系、絶滅危惧種や海洋の環境を守ることにもつながり、むしろ健康的でこっちの方が良くないか?という声が聞こえてきそうだ。
この記事を書いた人
オーガニックプレス編集長 さとうあき
インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。