ドイツのスーパーマーケットで、有機野菜が実際にどのような包装で売られているのか?ミュンヘン市街地にあるREWE(レーヴェ)の、小型店舗を視察してきた。REWEはオーガニック専門店ではない。青果売場に有機コーナーは設けられてはおらず、野菜の種類ごとに陳列されている。もちろん同じケース内に、違う野菜が混ざらないように配慮はされているが、慣行野菜の隣に有機野菜が並んでいることもある。

普通の野菜と有機のものとが混在して販売されているが、プライスカードでもすぐにBIO(オーガニック)だと認識できるように工夫されていた。また、有機のものにはPBブランドとして「REWE Bio」のデザインロゴが入ったシールなどが使われている。有機認証の野菜や果物に対しては特に、できるだけプラスチックを使用せず、環境に優しい包装用資材が使用されていたのが印象的だった。

りんご4個パックの紙容器

BIOFACHの会場でたくさん見かけて印象に残っていた、紙容器入りのりんごが、実際にスーパーの特売でボリューム陳列されているのを発見!Naturlandの認証マークつき。生産者が「REWE Bio」のシールを預かっていて、パックしたものを納品しているのか、REWEの青果センターなどで小分けして各店舗に納品しているのか、それともお店のバックヤードで小分けしているのか、気になるところ。

▽有機農産物の包装資材をサステナブルに!マネしたい海外の事例
https://organic-press.com/world/world_report144/

りんごのバラ売りはシール対応

りんごのバラ売りは、有機のものにはBIO認証マークの小さなシールを直接貼って差別化している。

日本でもありそうで意外と見られないのがこのパターン。何故なら、シールそのもののコスト、シールを貼る工賃、シールの枚数など管理する工数を考えると、生産者の方がバラのりんご全部に、1個ずつ有機JASマークのシールを貼ることが現実的ではないから。

それなら小売店のスタッフが貼れば良いのでは?と思う方もいるかもしれないが、簡単なことのように見えて、実は難しい。それを行うには現在のルール上、有機JAS認証「有機農産物小分け業者」の認証を取得する必要があるからだ。認証を取得したとしても、入荷から小分け、シールの添付と管理、値付け、陳列など一連の作業を毎日行い、さらに記帳や枚数管理なども徹底して継続することはかなり難易度が高い。

わかってはいるけどできない、一般消費者にも理解されにくい、オーガニック業界あるあるの悩みのひとつだ。

ズッキーニ2本まとめ売り

ズッキーニは認証マークも印刷されたシールでぐるりとまとめて。きゅうりや人参のまとめ売りにも使えそう。バーコードも印刷されているので、レジで手打ちする必要が無く効率が良い。

セロリ1株

セロリ1株売りに使われるシールは、ズッキーニより少し幅が太めのサイズ。何も巻かずにそのままでも販売はできそうだが、ぐるりとシールを一周させて巻くことで視認性も高くなる。

バナナの房売りをしたい場合などにも使えそう。日本でオーガニックバナナの一房売りがされる場合は、プラの袋に入っていて認証マーク付きのラベルシールが貼られていることが多い。一般的なバナナの場合は、店舗で買いやすい本数に房を分けたものをビニールのテープで巻き、その上から価格のシールが貼られているようなケースも良くみられる。どちらも店頭で1本もぎ取られてしまうなど、誤って量り売りと認識される事故は防げるが、プラ削減や作業の効率を考えると、このような紙製シールラベルのほうが、無駄が少なくて良いと思う。

トマトの紙容器

トマトのパックに使われている紙は、りんご用の容器よりも薄くて軽く、柔らかい。茄子やピーマンなど、隙間から落ちない程度の大きさの野菜で重量が軽めのものにぴったり。

食品だけでなく、雑貨やコスメなどのギフトBOXに応用できそう!

玉ねぎは生分解性ネット入り

BIOFACHの会場で見た、生分解性で堆肥可能な青果用ネット入りの玉ねぎも発見。赤玉ねぎと普通の玉ねぎでネットの色を変えていた。タグは紙製で、ブランドロゴや認証マーク、バーコードなどの情報が印刷されている。

▽有機農産物の包装資材に“堆肥化可能”な素材への転換が求められている
https://organic-press.com/world/world_report145/

日本で今回ご紹介したような青果の包装資材を使用したい場合、まず有機JASマークを付けるには生産農家が有機JAS認証を取得している必要があり、さらに流通業者や店舗で袋詰めやラベル貼りをするならば、前述したように有機農産物小分け業者としての認証を受ける必要がある。そのため、オーガニックスーパーであってもなかなか進めにくい現状ではあるが、紙容器や紙素材のテープに切り替えるなどから始めてみては?

有機、慣行にかかわらず、日本の青果物流通業界でも是非マネしてほしい取り組み。青果売場のプラ削減となるヒントが、ドイツのスーパーマーケットにはたくさん!

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

関連記事