タイ・バンコクの大型ショッピングモールには、たいてい高級系のスーパーが出店している。このようなスーパーの青果売り場では、一部裸売りされた野菜や果物もあるが、袋入りやトレイにラップをかけたもの、フルーツ用のネットキャップを使用しているものなど、意外とプラ包装が多いことに気づく。日本以上に暑く高温多湿な気候が一年中続くタイでは、鮮度保持のために不可欠なのかもしれない。

そんな中で注目したのが、“バナナの葉っぱ”を活用した包材や売り場づくりだ。環境に配慮した売り方でもあり、視覚的な差別化もできる。消費者の五感に訴えかける販促ツールとしても効果を発揮していた。

濡れたレタスなど“水受け”をするために敷かれたバナナの葉

量り売り野菜のカゴに敷いたバナナの葉

背の高いハーブは、2/3をバナナの葉で覆い棒状の束に

葉物野菜一把は下部分に葉っぱを巻き束ねていた

ハーブ、アスパラなどは中央の持ち手部分に

ブーケのように束ねているものも

日本のスーパーでは、ホウレン草や小松菜などの葉物はボードン袋に入って販売されることが多い。特にそのままでは鮮度保持が難しいハーブ類は、日本ではプラ容器やボードン袋入りで冷蔵販売されることがほとんどだ。葉物を袋に入れず、結束テープやワイヤーが入ったビニタイでまとめられることもあるが、これらにもプラスチックが使われている。

上記の写真の例にあるように、このタイの青果売り場ではバナナの葉っぱを活用し、様々な方法で野菜やハーブが販売されていた。バナナの木が身近にあるタイならではのアイディア!持続可能な包装だ。しかも、束にするときにはテープでも輪ゴムでもなく、藁のような植物性の天然素材が使われていて完全にプラスチックフリーだった。

大きな葉っぱはディスプレイにも活用

バナナの葉は、タイでは葉っぱで包む蒸し料理があったりお皿として使われたり、とても身近なものだ。飲食店では、しばしばテーブルコーディネートとして使われていたりする。食卓を華やかにしたりお皿の上の彩を良くするという演出の側面もあるが、実際、実用的でもあるなと感じた。お皿と食べ物の間に敷くことで油汚れも軽減されそうだし、ライスバスケットの内側に敷くことでご飯が網目に挟まったり付いてしまうのを軽減できるからだ。

バナナの葉を舟型にして、塩やスパイスなどのための小皿として活用されていたり、デザートの器にしていたり。これなら食事後は洗わずに生ごみとして処理できるので、洗剤の量を減らせたり水の節約になるかも・・・?

お皿に敷いたり舟型の容器に使用

ご飯がくっつかないようライスバスケットの内側に

タイデザート「カオニァオ・マムアン」の器に

それでも、一歩外に出て街を歩けば、屋台やリヤカーの引き売りでたくさんのビニール袋を使用しているのを目にする。タイでは自炊をしない家庭も多く屋台文化が根付いていて、オフィス街では出勤前に朝食を買うのが日常風景なのだとか。総菜や汁物など、ビニール袋に入れてゴムで止めた屋台のご飯は定番だ。

続いてきた習慣はすでに日常の一部となっているため、急に脱プラしろと言ってもなかなか変えることは難しい。とはいえ、昨今の中東情勢の悪化や長期化でナフサ由来製品の不足や価格高騰が広がり始めている。

タイの屋台でのテイクアウト用としてマイ容器、BENTO BOX持参!という新たなライフスタイルが、もしかしたらこれを機に生まれるかも?

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▽木幡恵の「いつだって幸せごはん」 / 一滴たりと汁を漏らさぬ空気入りビニール袋
https://recipe.organic-press.com/kihata_0029/

タイから帰国したら、ちょうど日本ではナフサ製品の供給不安が広がっていて、“久しぶりに”マスコミで食品企業の脱プラの取組みが取り上げられているのを目にした。

久しぶりに・・・というのは、鼻にストローが刺さったウミガメの動画が拡散されたのが2015年。これをきっかけに、ストローを従来のプラ由来から紙素材のものに替える飲食店が一気に増えた。SDGsが国連総会で採択されたのは2015年で、その2年後くらいから政府の推進やメディアでの露出が増加。この頃、日本で「SDGs」という言葉がまるでブームのように急速に注目され始めた。その後プラスチック製レジ袋の有料化が本格的に始まったのが2020年・・・。

最近はメディアもSDGs疲れを起こしているのかだいぶ露出が減っていたのだが、このナフサ関連の状況によってにわかに企業の脱プラの取組などが、毎日のように報道されている。

食品メーカーや小売店の容器や包材の変更を余儀なくされているとか、印刷のインクを白黒に替えたとか。野菜のボードン袋不足やビニールハウス、マルチなどの資材不足、化学肥料の供給不安などの問題も出てきた。ここにきて有機野菜の宅配を手掛けている企業が、梱包資材を切り替えたり野菜のバラ入れを始めたというニュースも目にした。

なんとなく社会がSDGsムードに沸いていた時にもレジ袋有料化に意見する声は常にあったし、結局のところ企業がSDGsキャンペーンで商品のパッケージや包材などにまで切り込み、消費行動に変化をもたらすまでには至らなかった。それなのに、今回起こったこのナフサショックによって再び脱プラスチック、石油依存への脱却といった社会変化が起こりつつあるというのは実に皮肉なことだ。

10年も時間があったのに。

この記事を書いた人

オーガニックプレス編集長 さとうあき

インターネットが急速に世に広まりつつあった2002年、長年身を置いてきたオーガニック業界からEC業界へと転身。リアル店舗時代からIT化時代の変遷、発展への過程を経験し、独自の現場的視点をもつ。2010年、業界先駆けとなる“オーガニック情報サイト”誕生を実現した。「オーガニックプレス」はその確かな目で選択された情報を集約し蓄積。信頼性の高いコンテンツを提供し続けている。

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